ワクチン接種
一時停止の自治体相次ぐ

大阪市の松井市長は、ファイザーのワクチンの供給の見通しが立っていないとして、各区ごとに行っている集団接種や個別接種のうち、1回目の接種を今月12日から一時的に停止することを発表しました。

大阪市では、市内の24区ごとに、集団接種や、各医療機関での個別接種を行っていますが、松井市長は、使用しているファイザーのワクチンの供給の見通しが立っていないとして新規の予約の受け付けを停止する方針を示していました。

これについて、松井市長は2日、記者団に対し、1回目の接種を今月12日から一時的に停止することを発表しました。

各医療機関が、今月12日以降で受け付けた1回目の接種の予約については、来月以降にずらすよう求めることにしています。

また、同じくファイザーのワクチンを使用している中央区の「城見ホール」の接種会場では、今月17日から1回目の接種を停止します。

松井市長は「ワクチン供給の見通しが立ち、接種体制が整い次第再開したい。市民や医療従事者には、ご迷惑をおかけするが、理解いただきたい」と述べました。

一方、2回目の接種についてはどの会場でもこれまでどおり受け付けるほか、モデルナのワクチンを使用している住之江区の「インテックス大阪」の大規模接種会場では通常どおり1回目の接種も受け付けます。

加藤官房長官「できるだけ早く配分計画示したい」

加藤官房長官は、閣議のあとの記者会見で「ワクチンの供給の見通しをあらかじめお示しすることが地域における円滑な接種にとって必要だということは、われわれも認識している。引き続き、そうした観点に立って、できるだけ早く、一定程度先の配分計画をお示ししていきたいと考えている」と述べました。

大阪 吉村知事「長期の“宣言”地域など 集中的に供給を」

大阪府の吉村知事は河野規制改革担当大臣と面会し、ワクチンの供給量が限られる中、リスクの高い地域で供給のスピードを落とすのは避けるべきだと述べ、長期に緊急事態宣言が出された地域などに集中的にワクチンを供給するよう要望しました。

大阪府の吉村知事は「接種の能力が高まってくると国の供給スピードと逆転することもありうる話で、そういう状況も起きうると思う」と述べました。

そのうえで「いまも大都市中心に感染が広がりつつあることを考えると、リスクの高いエリアでワクチン供給のスピードを落とすのは避けるべきだ。長期的に緊急事態宣言が出されたエリアや、感染が拡大すると全国にも波及するようなエリアを『ワクチン接種重点地域』に指定し、できるだけ早く供給することが必要だ」と述べ、長期に緊急事態宣言が出された地域などに集中的にワクチンを供給するよう要望しました。

これに対し河野大臣は「高齢者分のワクチンは6月末までに送り出しているので、そこは全力で打っていただき、64歳以下の人の分については 7、8月の輸入量をベースに、いろいろと意見を伺いながらしっかりやっていきたい」と述べました。

千葉市 ワクチン接種 新規予約受け付け一時停止を決定

新型コロナウイルスのワクチンについて、千葉市は国からの供給計画が不透明で接種の見通しを立てることができないとして、2日からすべての新規の予約の受け付けを一時停止することを決めました。

千葉市では現在
▽およそ350か所の医療機関で個別接種をしているほか
▽3か所で集団接種を実施していて
いずれもファイザーのワクチンを使用しています。

今月19日からの2週間分の供給量として千葉市は14万400回分を希望していましたが、まだ国から供給量が示されず接種の見通しを立てることができないことから、2日から新規の接種予約の受け付けを一時停止することを決めました。

千葉市では現在60歳以上の人を対象に接種を行っていますが、すでに予約が完了している人については予定どおり接種できるということです。

千葉市の山元隆司保健福祉局長は「国の計画に沿って接種を加速化させてきたが、それに見合うワクチンが届くと思っていたので非常に残念だ。国には見通しを示してもらい、なるべく早く受け付けを再開したい」と話していました。

千葉県によりますと、今月前半分の県内の自治体に対するワクチンの供給量も希望の半分以下となっていて、県は「ほかにも新規の予約を停止せざるをえない自治体が出てくるおそれがある」としています。

三重 四日市 ワクチン集団接種 新たな予約受け付け 一時停止

三重県四日市市は、新型コロナウイルスのワクチンが十分に供給される見通しが立たないことから、集団接種の新たな予約の受け付けを一時的に停止しました。

新型コロナウイルスのワクチンについて四日市市は今月と来月、集団接種と個別接種で合わせて11万回余りの接種を予定していて、会場や打ち手などの準備を進めていました。

しかし、このうちおよそ4万5000回分しか国からの供給の見通しが立たず、すでにその分の予約はほぼ埋まっていることから、集団接種については新たな予約の受け付けを一時的に停止したということです。

一方、かかりつけの医療機関などで行う個別接種の予約は引き続き受け付けるということです。

市のホームページでは、かかりつけの患者以外でも個別接種ができる医療機関での予約の空き情報を1日から公開していて、市では予約する際の参考にしてほしいとしています。

四日市市の森智広市長は「国が職域接種を広げすぎたのが大きな要因だと考えている。接種体制を整えたにもかかわらず接種を進められずもどかしい」と述べました。

福岡市 ワクチン供給量の減少で個別接種の予約数制限を要請

新型コロナウイルスのワクチンをめぐり、福岡市は、国からの供給量が減少する見通しだとして、個別接種を進める市内の医療機関に対し、予約数を制限するよう要請しました。

福岡市が6月28日に市内のおよそ800の医療機関に出した文書によりますと「ファイザー製のワクチンの供給量がこれまでよりも減る見通しが国から示された」としています。

このため、各医療機関で直近2週間のうち接種が多かった週の回数を「目安接種数」として、7月12日以降の予約数は、それを超えない範囲で設定し、8月は2割から3割減らした予約数に制限するよう要請しています。

市によりますと、ワクチンの供給量は6月、およそ36万回分でしたが、7月は、およそ35万5000回分に減り、8月は未定だということです。

福岡市の個別接種は、現在、全体で1日およそ1万4000回に上っていて、7月からは64歳以下への接種も順次始まります。

市は、個別接種が減っても集団接種と職域接種により今の接種ペースは維持できるとしています。

一方で、8月以降については、ワクチンの供給量が決まっておらず、接種への影響は不明だとしています。

見直し迫られ 医療現場では混乱も

福岡市では、接種計画の見直しを迫られる医療機関も出ています。

福岡市西区の「福岡リハビリテーション病院」は、7月12日からの7日間と、26日からの7日間に、それぞれ750回分の予約を受け付けていました。

しかし、市から接種回数を、それぞれ684回に抑えるよう連絡があったということです。

病院は、認められない66回分について、今後、予約した人たちに連絡して延期してもらうなど調整を進めることにしています。

また、8月は、さらに接種の回数が制限され、480回に減らすよう市から要請されたということです。

病院は3割も減少すれば、2回目の接種の予約ができなくなる人も出てくるおそれがあるとして、ワクチンを確保するよう市に求めています。

福岡リハビリテーション病院の財部勲雄医事係主任は「接種を急ぐよう言われてきたのに、実際はワクチンが足りないという通知で、正直、現場は混乱している。予約した人たちにも申し訳ない思いだ」と話していました。