国 キム・ジョンピル氏死去
日本との国交正常化に尽力

韓国政界の重鎮で、日本と韓国が1965年に国交を正常化する過程で大きな役割を果たしたキム・ジョンピル(金鍾泌)元首相が亡くなりました。92歳でした。

キム・ジョンピル氏は陸軍の出身で、1961年にパク・チョンヒ(朴正煕)元大統領が起こした軍事クーデターに深く関わり、情報機関のトップを務めたあと、政界に入り、首相などの要職を歴任しました。

日本の政界と太いパイプを持つ「知日派」の草分け的な存在で、1962年、当時の大平外務大臣と国交正常化に関して交渉をした結果、日本から韓国への経済協力の規模をまとめた、いわゆる「金・大平メモ」が作成され、1965年の国交正常化につながりました。

その後も韓日議員連盟の初代会長を務めるなど、日本と深い関係を維持し、韓国国内においてもキム・ヨンサム(金泳三)氏、キム・デジュン(金大中)氏の2人の元大統領と並ぶ、「三金」の1人として政党を率いるなど、政界の重鎮として活躍しました。

しかし、2004年の総選挙で落選したあと、政界を引退し、近年は公の場にあまり姿を見せていませんでした。

韓国メディアがソウルの病院の話として伝えたところによりますと、キム・ジョンピル氏は23日朝、自宅から救急車で搬送されましたが、病院に着いた時にはすでに死亡していて、死因は老衰と見られるということです。

安倍首相「日韓関係の礎築かれた」

安倍総理大臣は「突然の訃報に接し、深い悲しみの念に堪えない。キム・ジョンピル元首相は、日韓国交正常化に直接携わり、今日の日韓関係の礎を築かれた。また、その後の日韓関係の発展にも多大なる貢献をなされた。深甚なるお悔やみを申し上げるとともに、ご冥福を衷心よりお祈り申し上げる」というコメントを出しました。

中曽根元首相「友情に感謝」

キム・ジョンピル氏と長年の交流があった中曽根元総理大臣は「韓国の復興・発展の重責を担い、日韓両国の友好と発展のためにも多大なる尽力をされた。国の政治中枢にあって、対外交渉などに携わってきただけに、経験とともに深い見識をお持ちだった。長年の友人を失うことは誠に寂しいかぎりで、その友情に感謝し、衷心からご冥福をお祈りしたい」というコメントを出しました。

公明 山口代表「功績に感謝」

公明党の山口代表は大阪 吹田市で記者団に対し、「私も何度かお会いしたことがあるが、日本を大変よく理解している人だった。苦しい時も、日韓関係を良い方向に保った功績に感謝し、心からご冥福をお祈りしたい」と述べました。そのうえで「先人の苦労を引き継ぎながら日韓関係を良い方向に保ち、国際社会にも貢献していきたい。今の北朝鮮問題についても、そうした日韓の連携が極めて重要だ」と述べました。