海道地震2年
37人犠牲の厚真町で追悼式

北海道で、最大震度7の揺れを観測した地震から6日で2年になります。37人が犠牲になった厚真町で追悼式が行われ、遺族や地元の人が花を手向けました。

おととし9月6日、北海道で最大震度7の揺れを観測した地震では、厚真町で大規模な土砂崩れが起きるなどして、災害関連死を含めて44人が死亡、785人がけがをしました。

また札幌市清田区で大規模な液状化の被害が出たほか、道内のほぼ全域が停電するブラックアウトも起き、地域社会や経済に大きな影響が出ました。

地震から2年 厚真町で追悼式

37人が犠牲になった厚真町では追悼式が行われました。

会場には祭壇と献花台が設けられ、遺族や地元の人たちが花を手向けて犠牲になった人を悼みました。

4歳の娘と訪れた町内に住む40代の男性は「2年がたって被災現場もきれいになりましたと伝えました。5年後、10年後も地震の記憶を忘れずに厚真町を支えていきたい」と話していました。

被害の大きかった厚真町吉野地区に住んでいた叔母を亡くした80代の女性は「自宅の修理が終わらず、気持ちはまだあの時のままで、亡くなった実感がありません。叔母には安らかに眠ってほしいです」と話していました。

厚真町 正午のサイレンに合わせ黙とう

37人が犠牲になった厚真町では6日正午、防災無線でサイレンが鳴らされました。

追悼式が行われている総合福祉センターでは、町の職員や地元の人たちなど60人余りがサイレンに合わせて黙とうし、犠牲になった人たちを悼みました。

厚真町長「復旧の実感持てる工夫や対策必要」

厚真町の宮坂尚市朗町長は記者会見で「復旧と復興のフェーズが入り交じる時期にさしかかり、不安にさいなまれている方々に寄り添う一方で、新たな希望を掲げている方々の期待にも応え、新しい厚真町を作りたい」と述べました。

そのうえで、「3年目には、復旧が進んでいないと感じている方々に、少しでも前進しているという実感を持ってもらう工夫や対策が必要だと思う。町民と議論を深めながら、ともに歩みたい」と述べました。

液状化被害の札幌 札幌市清田区では

大規模な液状化が発生した札幌市清田区の里塚地区では、現在も復旧工事が続いています。住民からは復興が進むことを歓迎する一方で、地域のコミュニティーの再生や住宅の再建への不安が聞かれました。

里塚地区の自治会長を務め、住民グループのリーダーとして活動してきた盛田久夫さん(76)は、「いろんなことがあったので、あっという間の2年だった。ある程度工事が終了することについては非常にスピード感があったし、よかったという印象を持っている」と振り返りました。

一方で、里塚地区を離れることを決めた人や避難生活を続ける住民がいることに触れ、「早く戻ってきてほしいという思いがいちばん強いが、元どおりというわけにはいかないと思う」と話していました。

また、70代の男性は「家が傾いて今も直っていない。みんなそれぞれ苦労したから、しかたないと思っている」と話していました。

被災の安平町「にぎわい取り戻したい」

大きな被害を受けた北海道安平町で老舗の和菓子店を営む佐藤けい子さん(73)は地震で店舗が被災し、去年4月から町内の仮設店舗で営業を再開しています。

佐藤さんは「地震を思い出すと涙が出てくるので、頭の隅に置いて思い出さないようにしてきました」と、この2年間を振り返りました。

そのうえで「1年でも長く店を続けたい。町の人のためにも自分のためにも、これから頑張ろうと思っている」と話し、街のにぎわいを取り戻したいと誓いを新たにしました。

また安平町の80代の男性は「地震のあと町内の店舗がどんどん減り、新型コロナウイルスの影響もあって街を出歩く人が少なくなってしまった。活気が戻ってくれればいいが、今はとてもさみしい」と話していました。

地震で壊れたピアノ 修復し演奏披露 むかわ町

北海道むかわ町で、地震で壊れたグランドピアノが修復され、初めて演奏が披露されました。

このグランドピアノは、おととしの地震で被災したむかわ町の町民が所有していたもので、ピアノの脚が折れ、弦も切れていたため、苫小牧市の調律師が持ち主から引き取って修理しました。

地震から2年となる6日は、むかわ町の道の駅「四季の館」のホールで、修復されたピアノの初めての演奏会が行われました。

鵡川高校の教諭の山岸拓さんは、自身の被災体験をもとに作詞作曲した曲の弾き語りを披露し、会場を訪れた町民などが聞き入っていました。

山岸さんは「日常を取り戻すために尽力してくれている人たちに感謝の気持ちを伝えたい」と話していました。

演奏を聴いたむかわ町の60歳の女性は「復興にはほど遠い状況ですが、みんなで支え合って、震災のことを忘れず、語り合いながら進むことが大事だと思います」と話していました。