横断歩道は歩行者優先 車は一時停止を
- 2024年04月22日
JAF=日本自動車連盟の調査で、信号機のない横断歩道で歩行者が渡ろうとする際の車の一時停止率が23.2%と全国で最も低くなった新潟県。
「渡りたいのに止まってもらえない」。そう思ったことがある人もいるのではないでしょうか。
新生活が始まり、慣れない通学路を歩く子どもや、慣れない場所を運転する人も多い4月。
悲惨な事故を防ぐためにも、改めて交通ルールを守ってもらいたいと、横断歩道での現状と注意点を取材しました。
新潟放送局記者 油布彩那
一時停止率 全国最低
新潟県内の信号機のない横断歩道で歩行者が渡ろうとした時の車の一時停止率は23.2%。
去年、JAF=日本自動車連盟が行った調査で新潟県が全国で最も低くなりました。
最も高かったのが隣の長野県で84.4%。全国平均は45.1%で、新潟県はおよそ半分の割合でした。
どのくらい止まってくれないのか
「どのくらいの車が止まらないものなのか」。
実際に新潟市中心部の横断歩道を訪れ、取材をしてみました。
取材時間はおよそ40分。横断歩道を渡ろうとした人のうちおよそ半数の人が車の通過を待っているような状況でした。
スピードを落とさずに通過する車も多く、なかには、横断歩道ギリギリのところで歩行者に気づいて止まる車もありました。
県内に1万444か所
新潟県警察本部によりますと、信号機のない横断歩道は、県内に1万444か所。
信号機がある横断歩道を含めた横断歩道全体の6割あまりを占めていて、子どもたちの通学路となっている場所もあります。
「見てても素通りされる」
歩行者からも「止まってくれない」という声が聞かれました。
止まってくれないのはしょっちゅうですよ。
「渡りたいんだけどな」と思って見てても素通りする車もいるし。
子どもとベビーカーで散歩することがあるんですけど、そういう時にやっぱりちょっと止まってくれないかなというのは感じます。都内に住んでいたことがあるんですけど、新潟の人は止まらないイメージはありますね。
反則金や罰則も
横断歩道は歩行者が優先。
道路交通法の38条では、運転手には歩行者などが明らかにいない場合を除いて横断歩道の手前で減速したり、停止したりしなければならないとされています。
そして、違反した場合は、反則金や罰則があります。
大きな事故につながることも
さらに、大きな事故につながっているケースもあります。
ことし2月には、新発田市で、信号機の無い横断歩道を渡っていた児童3人がはねられ、2人が大けがをしました。
新潟市や上越市でも同様の事故が相次いで起きていて、県警察本部によりますと、ことしに入って3月末までに信号機のない横断歩道で起きた事故によって1人が死亡し、19人がけがをしています。
事故を起こさないために 注意点は
悲惨な事故を防ぐためには、何に注意すればいいのか。
新潟県警察本部 交通総合対策室の荒木慎弥室長に話を聞きました。
前方をよく見て運転するのはもちろんのこと、横断歩道を示す標識がある場合、歩行者がいるかもしれないと考えて運転することが大事だということです。
荒木室長
道路上にダイヤマークがある場合や標識がある先には必ず横断歩道があるので、進行方向をよく見てダイヤマークがあれば減速するなり、横断歩道があるということを意識して、横断歩行者がいるということを意識して運転していただきたいと思います。
また、ふだん通り慣れないような生活道路での運転は避けるほか、交通量の多い場所や、通学路などでは特に注意が必要だと言います。
荒木室長
交通量のあるところだと、対向車線が渋滞で車が停止して、横断歩道があるが見通しがきかないところがあります。そういった場所を通行する際は減速して、安全が確認できてから進行していただきたい。あとは当然、通学路や生活道路では速度を落とす。速度を落としてよく注意して、子どもが出てくるかもしれないということを常に意識して運転していただきたい。
歩行者側の注意点は
運転する人が気をつけるのはもちろんですが、歩行者ができることも。
手をあげることや、車の方に体を向けるといった歩行者が横断する意思を見せることも大事だということです。県警察本部が調査を行ったところ、こうした「渡るよサイン」を行った場合は行わない場合と比べて、およそ1.7倍、車の停止率が高くなったということです。
新生活が始まる4月。事故を起こさないためにも、あらためて交通ルールを意識していただければと思います。