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鳥インフルエンザ対策最前線 新潟で初の試みも

渡り鳥のシーズン迎え新潟で始まった対策は
  • 2023年10月18日

 

昨シーズン、新潟県内では鳥インフルエンザの感染が相次ぎ、過去最多となる257万羽あまりの
ニワトリが処分されました。冬を前に渡り鳥が飛来するシーズンを迎え今シーズン初めてとなる高病原性の鳥インフルエンザウイルスが北海道のカラスから確認されるなど警戒感が強まっています。こうしたなか感染へのリスクを下げようと県内で新たに始まった対策を取材しました。
(新潟放送局 記者 油布彩那)

相次いだ鳥インフルエンザ 生活に影響も

去年11月からことし3月にかけて県内では5つの養鶏場で致死率の高い、高病原性鳥インフルエンザ
ウイルスが検出され過去最多となる257万羽あまりのニワトリが処分されました。
いまも操業を再開していない養鶏場があります。
 

「価格の優等生」と言われた卵も値上がり。いまも影響は続いています。

専門家が対策を提言

昨シーズン、全国でも感染が相次ぎ過去最大規模の処分となったことなどを受け、農林水産省の専門家チームはことし7月に対策などについて提言をまとめました。
このなかでは世界的にもウイルスへの感染が続いていて、ことし秋以降も渡り鳥によって国内に持ち込まれるおそれが高いとして自治体や生産者などに対策を求めています。

 

具体的には、以下の対策などが挙げられています。
▼従業員をはじめ出入りする関係者すべてを対象にした消毒など衛生対策の徹底
▼野生動物の侵入経路がないかなど点検の徹底
▼養鶏場周辺で野鳥の羽休めになるような水場の水抜き、です。

ふだん見ないような場所も点検を

 

提言を受け、県内では家畜保健所が屋根の上の空気口といったふだん目が届かない場所などを点検項目に追加し野生動物が侵入して来ないかなどを確認しています。

感染リスクを減らすため 新たな対策も

 

より感染リスクを下げようと今回初めてとなる対策も始まっています。
野鳥を養鶏場に近づけないようにするため、10万羽以上のニワトリを飼育している養鶏場の
半径1キロにあるため池の水を抜くことにしたのです。

県内では地元の了承を得て5つのため池で水が抜かれていて、村上市にある農業用のため池では
ふだんより大幅に水位が下がり池の底が見えている場所もありました。

 

池を管理している飯岡地区の小田宏明区長
私も卵を1日8個以上家族で消費しているので卵の値段があがるのは非常に大変です。
ちょっとでも役に立てばいいかなと。

こうした対応に、ため池近くの養鶏場の担当者は。

岩村養鶏 防疫衛生部 藤井孝憲さん
1つの養鶏場やいち企業にできることには限りがあると言わざるを得ない。
池の水を抜いていただくことで鳥インフルエンザウイルスの発生のリスクを下げることができるので、地域の皆さんには感謝の気持ちでいっぱいです。

国は「分割管理」の方針 課題も

 

国は昨シーズン感染が相次いだことを受け、養鶏場を複数の区域に分けて対策をとることで処分する
ニワトリを限定することができる「分割管理」についてマニュアルをまとめ関係者に通知しました。

ただ、県などによりますと「分割管理」によってリスクを減らすことができる一方、費用や人手の確保が課題となっていて県内で取り入れている養鶏場はこれまでのところないということです。

 

岩村養鶏 防疫衛生部 藤井孝憲さん
(新たに)消毒ゲートを取り付けるとか設備を取り入れるにも多くの費用が発生するし、衛生管理区域とよばれる農場の境界線にも柵の設置とか設備の導入が必要になります。行政からの明確なガイドラインがようやく出始めたところで対策が追いついていないところもありますので、その辺も鑑みながら調整を進めているところです。

  • 油布彩那

    新潟放送局 記者

    油布彩那

    令和元年入局
    新潟生活5年目。
    行政や拉致問題の取材を担当。

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