長崎・新上五島町 さかなクンもデザイン!大漁旗で島を元気に
- 2023年04月28日
2023年5月7日(日)、長崎県五島列島の新上五島町で、「大漁旗でつながろう 島の内と外」というイベントが開かれます。豊漁の印である大漁旗を制作して、島に人を呼び込んで元気にしようというこの取り組み。さかなクンも大漁旗をデザインしました。
NHK長崎放送局アナウンサー 池田耕一郎
高齢化が進む上五島の漁業
今回の企画の発起人は新上五島町在住の柴田勝重さん。なんと柴田勝家の子孫にあたるそうです。賤ケ岳の戦いで敗れた柴田家ははるばる上五島にまで移住してきた歴史があるそうです。そんな柴田さんは島を離れてからは、静岡市清水区にある東海大学海洋科学博物館で学芸員として働いていた経歴をお持ちです。
柴田さんによりますと上五島はマグロ、ブリ、タイ、カマス、メジナ、シイラ、アジ、トビウオ、ハタ、イカ、イセエビなどの魚介類やクジラ類が回遊する豊穣の海で知られ、豊かな水産資源は島の発展に大きく寄与してきたそうです。しかし、新上五島町も他の離島と同様に人口減少が進み、漁師の方々は高齢化しています。
島にUターンして、地域の漁業の行く末を案じていた柴田さん。豊漁の印である大漁旗から千客万来をイメージして「大漁旗でつながろう 島の内と外」と題したイベントを企画したのでした。
上五島ならではの大漁旗を作ろう!
柴田さんたちは去年、大漁旗デザインコンクールを実施。すると全国各地から494点もの応募がありました。
その中から選ばれた優秀作品と、著名人に特別に依頼したデザインを大漁旗に仕上げることにしました。そうして、できあがった大漁旗をさっそくご紹介しましょう。
まずは魚の研究者・タレントとして活動する、さかなクンがデザインした大漁旗です。
縦1メートル、横1.5メートルの布地にブリ、タイ、カツオ、クエ、ハコフグ、イセエビ、アオリイカの魚がダイナミックに描かれています。さかなクンは絵も上手ですね。
次に、漫画家で恐竜研究家のヒサクニヒコさんがデザインした大漁旗です。
恐竜をモチーフにしています。長崎は恐竜など古代生物の化石が多く発見される場所ですので、長崎らしいデザインです。
そして、絵本作家の篠崎三朗さんがデザインした大漁旗はこちら。
魚の生命力や太陽や波のエネルギーがびんびんと伝わってくる大漁旗ですね。
静岡の染物職人が丹精こめて制作
これらの3作品を実際に制作したのは、静岡市のこんまつ旗店の染物師、佐藤千太郎さんです。現在、87歳の佐藤さんは国際芸術文化賞などを受賞しています。大漁旗を制作する職人が減るなかで今も現役で活躍していて、今回の制作を依頼されました。
大漁旗の制作は今年1月から始まりました。魚の絵柄を布に描いて、その上に糊をのせて、染色時に色が他の部分に混ざらないようにしていきます。
染色をほどこした後は、熱処理をして、乾かして、水洗いします。そして、色の境の糊を落とすため、糊を食べるバクテリアが入った水に浸して、再び乾燥させます。
今回の大漁旗は絵柄が多く、この手順を3回繰り返して、やっと完成したそうです。佐藤さんは丹精を込めて、3枚の大漁旗を制作しました。
会場は「舞いあがれ!」に登場した小学校
今回の「大漁旗でつながろう 島の内と外」イベントの会場は新上五島町立北魚目小学校です。NHKの連続テレビ小説「舞いあがれ!」で舞ちゃんが通う小学校のロケ地となった場所です!
イベントでは校庭に一斉に大漁旗を掲げて、島の魅力を発信します。先にご紹介した3つの大漁旗に加えて、応募作品の中から選ばれた優秀作品、あわせて13枚の大漁旗が登場します。また、応募のあった原画も展示するとのことです。どれも元気が出てくるような作品ばかりです。
五島の美しい海を見下ろす島の小学校で、色とりどりのユニークな大漁旗がはためく今回のイベント。みなさんも、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?
「大漁旗でつながろう 島の内と外」
日時:2023年5月7日(日)午前10時~午後2時
(雨天・強風時は14日(日)に順延)
会場:新上五島町立 北魚目小学校