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災害への備えは○日分?能登半島地震の発生直後に現地取材した記者と東日本大震災を経験した防災アドバイザーが語る

  • 2024年01月23日

大災害では発生から数日間は支援が届かないことを前提しないといけません。
能登半島地震の発生直後から現地を取材した玉木記者が東日本大震災で被災した防災アドバイザーの吉田亮一さんに話を伺いました。

旅行で訪れていた石川で

地震発生時、偶然、石川県加賀市を旅行していた玉木絢子記者。加賀市では震度5強の揺れでした。すぐに車でNHK金沢放送局に向かい、カメラマンらと合流。そこから七尾市を目指し、現地に到着したのは深夜11時ごろで、多くの建物が倒壊した様子を取材しました。2日目も七尾市、3日目は珠洲市を取材したあと、応援の記者と交代して現地を離れました。

玉木絢子記者

木造住宅が軒並み倒壊しているのを目の当たりにしながら、余震に不安を感じながらの取材でした。まず驚いたのが道路状況の悪さです。道路に亀裂が入り、大きな段差が出来ているため、タイヤがパンクして立ち往生する車を移動中に何台も見かけました。
さらに、余震や雨の影響で土砂崩れも起きていたため、来る時に通れた道が帰りには通れなくなり、回り道しなければならないこともありました。この時は、ふだん3時間ほどで移動できる珠洲市から金沢市まで12時間もかかりました。

能登半島地震の様子を取材する玉木記者

発災直後は支援物資が届かず

玉木絢子記者

地震から3日目に珠洲市の避難所を取材した時点では、食料などの支援物資が届かず、お菓子を食べてしのぐ人がいる状況でした。
そうした中、被災した人たちは壊れた自宅から野菜やコメなどを持ち寄り、自分たちで豚汁などの炊き出しをしていました。それぞれ役割分担をして、調理をしたり、食事の用意が出来たことを避難所内に周知したりするなど、協力し合って過ごす姿が印象に残りました。
やはり大きな災害では、発生から数日間は支援が届かないことを前提にふだんから備えておくことが大切だとつくづく感じました。

必要な備えは1週間程度

災害時の備えについて、東日本大震災で被災した経験のある仙台市の防災アドバイザー・吉田亮一さんに話を伺いました。

吉田亮一さん

いつ災害が起きてもよいように1週間分の食料と飲み水は自宅でためておいてください。買い物に行くときに「こういう物があったら災害時に便利だよね」というものを1つでも2つでも少しずつ備蓄してほしいと思います。

吉田さんよると、まずはペットボトルなどの水です。水は期限が切れてもトイレなど多目的に使えるので、賞味期限が切れたからといって慌てて飲む必要はないということです。

食料ではカップ麺やそうめん、缶詰など日持ちのする物がよいということです。

また、食事の際には「ラップ」があると重宝するそうです。断水で食器が洗えないことも想定されるので、食器にラップをかぶせて使えば、食後にラップを捨てるだけで済みます。

防災アドバイザー・吉田亮一さんが
自宅に備えるもの

自宅の備蓄品を写真に撮って送って下さいました。まずは食べ物。レトルト食品や缶詰、カップ麺など日持ちのする物ばかりです。

吉田亮一さんが自宅に備える非常食。夫婦2人で1週間程度

さらに、調理するには火が必要ですが、災害時にはガスや電気は使えないと考えるべきです。そこで役立つのバーベキューなどで使う木炭。カセットコンロが使えない屋外で重宝するそうです。

吉田亮一さんが自宅に備える水や木炭

そして吉田さんが捨てずに残している物には、こんな物もあります。発砲スチロールやプラスチックのトレーです。軽くて緊急時に持ち運びもしやすく、割れる心配もないため、災害時には食器代わりに使うと便利です。

吉田さんは夫婦2人分として常に20枚ほど保管しているそうです。ラップをかぶせて使えば、トレーも洗う必要がなくなるということです。

吉田亮一さんが自宅に備えるトレー

防災6点セット

さらに、避難生活の中で必要となる備蓄品以外に、地震の直後に命を守るために必要となる“防災6点セット”を吉田さんに教わりました。

玉木絢子記者

例えば、スニーカーは室内に散乱したガラスなどで足をけがせず、速やかに避難するのに役立ちします。防犯ブザーは家が倒壊して閉じ込められた際に鳴らせば、周囲に居場所を知らせることができます。
いずれも被災地を見てきて必要なものばかりだと感じます。枕元近くに置いておくとよいと思います。こうした備え、吉田さんは今すぐやってほしいと訴えています。

吉田亮一さん

「こんな大きな災害が来たらどうしよう・こんな大きな地震が来たらどうしよう」という危機感をもってください。そして、そのあとに想定以上の備えをすること。明日きてもいいよう準備をしておくべきだと思います。

吉田さんは東日本大震災の被災者から話を聞く中で「まさかこういうことが自分の身に起きるとは」「ここは安心だと思っていたのに津波が来てしまった」といった言葉が印象に残っているということです。
宮崎県でも南海トラフ巨大地震で甚大な被害が想定されています。能登半島の被害を目の当たりにしている今こそ、自分や家族の備えを見直していただきたいと思います。

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  • 玉木絢子

    宮崎局・記者

    玉木絢子

    2019年入局
    宮崎県政や医療に関することを取材

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