「M7クラスが何度も…」地震の専門家が日向灘に潜むリスクを解説
- 2024年01月22日
2022年3月に行われた政府の調査では、今後30年以内に日向灘でマグニチュード7から7.5程度の大地震が起きる確率は80%程度と結論づけられています。地震の教訓をもとに宮崎県内での必要な備えについて考えます。
“日向灘地震”
1月1日に発生した能登半島地震。被害の大きさに、驚いた人も多いと思いますが、宮崎でも決してひとごとではありません。たびたび発生しているのが、日向灘を震源とする大きな地震。過去100年に起きたマグニチュード7クラスの地震がこちらです。
京都大学防災研究所の山下裕亮さんは、日向灘を震源とする地震は、繰り返し発生していること、また、特に強い揺れに注意が必要だと指摘します。
日向灘で起きる地震は震源がかなり陸に近い。距離が近いと、規模が小さくても強く揺れるんです。過去の歴史を見ると繰り返し地震がおきていることはわかるし、今後必ず大きな地震が起こることもわかります。宮崎県民は非常に地震のリスクがあるんです。
1987(昭和62)年に起きた日向灘地震では、日之影町で走行中の郵便車に落石があり、死者もでました。また、2022年3月に見直しが行われた政府の調査では、今後30年以内に日向灘でマグニチュード7から7.5程度の大地震が起きる確率は80%程度と結論づけられています。
過去最大は360年以上前の外所地震か
宮崎市内に大きな津波被害を発生させた地震として、江戸時代のはじめ1662年10月31日(寛文2年9月20日)に起きた「外所地震」があげられます。
地震で地盤沈下した場所へ、津波による海水が流れ込んだため、大規模に浸水したと考えられています。地震後に作られた江戸時代の絵地図からも、あたり一帯が、水に沈んでいることがわかります。
外所地震は、おそらく日向灘が震源だといわれています。マグニチュードは7.6といわれていますが、実際にはもっと大きかったのではないかと考えています。
「外所地震」供養碑をたずねる
宮崎市熊野地区にある「外所地震供養碑」を訪ねました。
地元の歴史に詳しい前田博仁さんに詳しいお話を伺うと、およそ50年ごとに地元の人が新しい石碑を作っており、供養碑には災害を伝え続けたいという、各時代の思いが込められていると言います。
日向の国で最大の津波と地震がきた外所地震。亡くなった人もいます。そのような方の供養と、日頃の自分たちの心の持ち方、地震があったらどうするべきか考えるため、50年ごとに建てているんです。
脅威がせまる南海トラフ巨大地震
宮崎では、日向灘地震だけでなく、南海トラフ地震に気をつける必要があります。震源が近い日向灘地震に比べ、震源が離れた南海トラフ地震で気をつけるべきは津波。震源と距離がある分、津波の大きさも大きくなるといいます。
南海トラフの場合には、とにかく大きな津波が起きます。日向灘はどちらかというと強い揺れとお話をしましたけれども、日向灘(地震)よりも圧倒的に大きな津波が来ると思っていただいて結構です。 震度が小さい場合でも、津波の規模がが大きくなりやすいのが南海トラフ。津波警報が発表されたら、とにかく高い場所に避難してください。
常に地震と隣り合わせの宮崎県。備えが必要な今だからこそ、過去の地震の歴史から学ぶことは多いはずです。
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