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宮崎の方言「てげ」意味や使い方の調査で番組存亡の危機が⁉

  • 2022年07月21日

(投稿者)日之影町のえっちゃん さん
NHK宮崎では「てげビビ!」「てげ探」など『てげ』がよく使われているが、私は聞くことも使うこともなく、あまりいいイメージもないです。宮崎県のことばとして普通なんですか?4月からの「でげビビ」にはモヤモヤしています。

視聴者の疑問に答える「てげ探」。今回はNHK宮崎の「てげビビ!」という番組の根幹を揺るがしかねない質問が届きました。宮崎では「てげ」を使うのか、どういった意味なのか、街頭調査や専門家に話を聞いてきました。

「てげ」の意味は?

『てげ』単体では「非常に」「とても」の意味。ふたつ重なって『てげてげ』になると「いいかげん」や「ほどほど」の意味になる。
と私たち「てげビビ!」番組スタッフは思い込んでいました。

しかし、昭和54年に発行された方言辞典を見てみると・・・

『てげ』単体にも「いいかげん」の意味があると書かれています。

宮崎の人は、

『てげうめっちゃが!』⇒とても美味しい
   のように「非常に」「とても」の意味で使っているのか、
『もうてげでいいが』⇒大体でいいよ
   のように「いいかげん」「ほどほど」の意味で使っているのか、街の人に調査します。

街の人はどう使ってる?

まず宮崎市から調査を開始します。中高生からご年配の方まで幅広く尋ねてみると…。

「てげあちいとか、てげおいしいとか、てげうめぇとか」
「てげおもろい。てげかわいい」
「強調するときに使っていることが多い。てげっていうのはおおげさに言う場合に使うかな」

宮崎市では20:5で「とても」や「非常に」の意味で使う人が多いという結果でした。

続いて、都城市でも聞いてみると

「いい加減じゃよ、ほどほど」
「お塩とかを入れるときにどれぐらい入れるの?てげよって、適当にって感じで」

話を聞いていると宮崎市とは傾向が違います。そもそも使わないと言う人にはシールを貼ってもらいませんでしたが、20人以上に聞いた結果は使う人が少ないうえに、「いいかげん」「ほどほど」の意味で使う人が多いという結果になりました。

さらに、「てげビビ!」という番組名について都城で聞いてみると、

山本記者

「てげビビ!」と聞いて、いいかげんなニュースをお伝えしているような印象でしたか?

都城在住

テレビで見るまではいいかげんなニュースかなと思っていました。見たら違うんだみたいな感じです。

専門家によると

南九州の方言に詳しい十文字学園女子大学の松永修一教授にお話しを伺いました。20年ほど前に『てげ』の使い方について県内を調査したこともある、まさに専門家です。

まずは都城の調査結果から見てもらいました。江戸時代には薩摩藩の一部だった都城。鹿児島にも「てげ」という言葉はありましたが、「とても」の方の意味には強力なライバルがいたといいます。

松永修一教授
鹿児島の場合は「てげ」という言葉に「とっても」って意味はないです。それは、別の「わっぜ」という言葉が大きく存在しているからです。都城市民には、自分たちが薩摩藩に属していた地域なんだという地域のプライドというか誇りがあるのかなと思います。

続いて宮崎市。調査では「非常に」「とても」が多くなりました。

松永修一教授
宮崎ではまだ「とても」という意味が優勢ですね。ただこれが、ふだん使いの言葉として残っていくかはわかりません。友達どうしで話すときに『てげ』を使うことによって仲間感、地元感を演出している傾向にあります。いろんな場所にアクセサリーをつけて雰囲気が変わることをアクセサリー化と言いますが、今後はそういった使い方が主流になるのではないかと思います。

投稿者がいる県北部での使われ方は?

延岡市で調査をしてみると、22人に聞きましたが、まさかのシール0枚。街の人からは「使わないですね」「てげってことば自体を使わない」と回答がありました。今回質問をくれた日之影町の「えっちゃん」さんのように、ほとんど聞くことも使うこともないという人ばかりでした。

方言「てげ」の今後は

確かに「とても」の意味の言葉は共通語のライバルがたくさんあります。今後『てげ』がどうなっていくのか、松永教授に聞いてみると

松永修一教授
「とても」という意味の『てげ』は、残念ながらやはり消えていくと思います。例えば、広島で使う『ぶち』なども同様です。若者はこういった言葉をどんどん使わなくなっています。やはり『めっちゃ』という響き的にも使いやすいものに変わってきています。

松永教授の話をまとめると「非常に・とても」の『てげ』はアクセサリー的に使われているものの、共通語化の波を受けて、いずれは消えゆく運命なのではないか。特に延岡などの県北部は共通語化が早く進んでいます。

一方で、「ほどほど・いいかげん」の『てげ』は、宮崎県人気質をあらわすユニークな言葉として、今後も残っていくのではないか、ということでした。

最後に、松永教授からは『てげ』について、こんな言葉をいただきました。

松永修一教授
『てげでいいが』という言葉をネガティブな意味で感じる人もいると思うんですけど、私はそんなに頑張りすぎないでいいよ。というようなマインドがこもっていると思うんです。そういう意味では大事にして欲しい言葉だと思いますし、誇りを持っていい言葉だなと思っています。

地域の言葉を残していくことは大切です。NHK宮崎はこれからも「てげビビ!」が宮崎の方に愛される番組になるよう『てげ』盛り上げていきます!

NHK宮崎では、みなさんの身近な疑問やお悩みをお待ちしています、次回もお楽しみに!身近な疑問・お悩みはこちらから 
https://www.nhk.or.jp/miyazaki/tegetan/index.html

  • 山本華子

    宮崎局・記者

    山本華子

    2021年入局
    宮崎市出身。現在は警察の取材を担当

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