宮崎県の東京学生寮は男子だけ！？女子が入れない理由を調査

大学生の娘をもつ母親からの疑問。実は、東京の一等地にある県人寮は男子学生しか入寮できません。男女の進学率がほぼ同じ時代になぜ女子学生は認められないのか、県への取材で見えてきた事実や寮生協力のもと寮内部を徹底調査しました。

東京の一等地にある宮崎県人寮

東京都千代田区の大学やオフィスビルが並び、皇居もすぐ近くにあるまさに東京のど真ん中に宮崎県人寮はあります。県の建物で6階から10階までが学生の部屋になっています。

立地もすごいのですが、驚くのは1か月の寮費です。なんと・・・1万9450円／月！！！！東京の相場からは考えられないほど格安となっています。ただし、冒頭で書いたように入寮できるのは男子学生のみ。投稿者は娘さんが東京で1人暮らしをしていて経済的な負担が大きく、コロナ禍でそれをさらに感じたと話しています。

男女の進学率がほぼ同じ時代になぜ、女子学生の入寮は認められないのか。県庁の財産総合管理課を訪ねました。

6月に公開された完成後のイメージ図です。11階建てのオフィスなども入る複合ビルで2階と3階が学生寮になります。男女でフロアを分け、男女とも個室が26ずつあり、トイレとシャワー付きで広々として、開放的な空間となっています。しかし、この寮に入れるのは5年後の2027年です。投稿者の娘さんはその前に卒業してしまいます。今の寮に女子が入れないのはなぜか、さらに深堀りします。

寮の内部に潜入

そもそも、県人寮はどんなところなのか。案内してくれるのは寮に住んで2年目、宮崎県出身・明治大学2年生の池田圭佑さんです。完成は昭和47年、男子専用の寮として建てられました。

池田さんの部屋は、本人曰く、若干狭いけど机があって寝るところがあって満足しているとのこと。本来は2人部屋ですが、もう1人は引っ越して今は1人で使っているそうです。次に向かったのは学習室。集中しやすい場所で静かで作業がはかどります。そして、池田さんのイチオシは屋上です。たまにふらっと屋上に出て外の景色を眺めたりできます。憩いの食堂スペースにはふるさとの仲間が集います。

古いながらも良い雰囲気の学生寮。なぜ女子学生が入寮できないのか再び県の担当者に聞きました。

県が理由にあげる共用施設。お風呂は大浴場が1つだけで部屋にシャワーはありません。洗濯機は4つありますが衣類を干す場所は1か所で女性は気になります。今のままだと女性は住みづらいかもしれませんが、取材を進めるとちょっとした工夫で、男女ともに使える寮を実現した県がありました。

男女共同を実現したのは山形県

山形は宮崎とは逆でもともと女子寮でしたが、途中から男子も入れるようになりました。浴場は宮崎と同じで1か所ですが、女子が使う場合は「女子入浴中」、男子は「男子入浴中」という札を入り口にかけます。寮は大人気で毎年、定員いっぱいになるそうです。

ちなみにこの寮、男女でフロアを分けていません。寮を管理する寮監の和田豊さんは「普通のアパートは男女の部屋が隣あうのはふつうのこと。学生寮になったとたん、なぜダメということになるのか。学生がマナーさえ守れば問題はない」と話していました。

設備が整っていないからできないという発想は時代に即していないのかもしれません。今回の調査結果を投稿者に伝えたところ、このように話していました。

宮崎から東京の大学に子どもを通わせるのは、経済的な負担も大きいです。県には以前から女子も入寮できないかという問い合わせがありました。県はこうした声をくみ取って女子寮が完成するまでの間にできることはないか、考えていくべきではないでしょうか。