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不特定多数の人と性的関係を持ってしまう性依存に向き合う女性34歳が、VR空間に飛び込んでみたら…何でもない毎日が当たり前じゃないと気づいた/『プロジェクトエイリアン』出演者のその後

現実社会では出会わないような4人が、自分が何者かを伏せたままVR空間上でエイリアンのアバターに身を包んで交流する番組「プロジェクトエイリアン」。

参加者の1人で、不特定多数の人と性愛関係を持ってしまう性依存に向き合うブランさん(34歳/仮名)。5年前、不貞行為が原因で夫と離婚。今は性依存の自助グループに参加し、回復に取り組んでいます。VRでの交流を経て、いったい何を感じ取ったのか、取材しました。

(「プロジェクトエイリアン」ディレクター 神谷友輔)

【関連番組】 NHKプラスで11/26(日) 午前1:21 まで見逃し配信👇

性依存になって…尽きぬ後悔

『プロジェクトエイリアン』では、VR空間を舞台に、見た目に影響されないアバターでの交流を通じて、ジェンダーや国籍などを理由とした“分断を乗り越える”きっかけとなる場を作ろうとチャレンジしています。5年前に性依存をきっかけに離婚したブランさん。当時のいきさつを教えてもらいました。

ブランさん

「3人目の子どもを授かったときに夫の地元の見知らぬ土地に引っ越すことになりました。もう家庭にこもりきりで、どこにも行けないとか、それで誰かと話すこともできないっていうことで、人間関係で孤立しちゃったんですよね。もう、いっぱいいっぱいになってしまってたのもあって、何か刺激が欲しいみたいな。そこでマッチングアプリの存在を知りまして、最初は話し相手がいればいいかなっていう感覚で、やり取りをしてたんですけれども…そこで初めて不倫をしてしまいました」

ブランさん

「さみしいから誰かがいてほしい気持ちもそうだし、プラスアルファで性行為そのものの快楽がすごく好きで、どんな嫌なことも、その時は忘れられるっていうところにズボッとはまってしまったのかな。夜、子ども達を寝かしつけて、下手したら多い時だと1日に2人とか会ってたりとかもしたし、それは本当に狂ってたなっていうふうには思いますね。で、ある日、子どもが夜泣きで起きたら、ママがいないことに気づいて、夫もそれで起きて、私が不倫をしてるってことが明らかになって…夫も激高してしまって警察の方が来る事態になり…結果、協議離婚することになりました」

その後、性依存であると自覚したブランさん。元夫や子どもへの申し訳なさを抱えつつ、現在は回復を目指して自助グループに通っています。しかし、いつか再発するのではという不安と向き合い続けています。

ブランさん

「夫から幸せな家族っていうものを奪ってしまったのは私の行動が理由だし、何も悪くない子どもたちからパパを奪ってしまったのは私の責任で、これはずっと私が背負っていかなきゃいけないものだなっていうふうに思ってます。性依存の自助グループに参加して、いろんな性依存の本をどんどん読むようになったのですが、体のつながりでしか得られない“さみしさを埋める”という行為はまやかしというか、その場しのぎでしかないんだなっていうふうに勉強してったなかで気づけました。ただ、この4年ぐらいは、関係を持たない状態は維持できているのですが、もちろん感情としては気持ちいいしとか、したいしとかっていうのはあるし、コントロールが効かなくなって日常茶飯事になってしまったらどうしようっていうところはすごくあります」

VR空間で“エイリアン”になってみて気づいたこと―

番組では、現実社会では交わり合わない4人が外見や素性を伏せて、エイリアンのアバターに身を包みVR上で一緒に月面旅行をしてもらいました。ブランさんには、プロジェクトエイリアンの世界はどのように映ったのでしょうか?

ブランさん

「自分とは価値観が全く異なる方々とお話をさせていただけて、すごく楽しかったです。1週間後に再会したときは、1週間ぶりなんですけど、なんだかすごい久しぶりな感じがしたんですよね。自分のことを打ち明ける覚悟が必要なんですけど、皆さんに自分を知ってもらうことに、ちょっと不安を感じていたからかもしれません」

今回ブランさんにとって特に印象に残っているのは、元妻に浮気された男性・すぐるさん(34)の存在でした。

ブランさん

「すぐるさんのお話を聞かせていただいて、浮気をされた側の気持ちを知れて、私が裏切ったことには変わりないし、それだけ深く傷つけたっていうのをすごく感じて…。今、私にはすごく信頼しているパートナーが、いるんですよ。人柄に魅かれたというか。私もこんな人になりたいなっていう尊敬の気持ちがあって、でも、奥底ではこの人とセックスしたいな気持ちは、どうしてもあるんですよ。でも改めて、子どもをないがしろになってしまうセックスには行きたくないっていう気持ちが強まって」

ブランさん

「すぐるさんのVTRを見ていると、すごいおなかがキリキリして気まずかったんですけど。浮気した側の私に対してすぐるさんが、『ちゃんと向き合っている人がいることが分かっただけでも、きょうは収穫だった』と言ってくれて…ありがたくて。性に依存する生き方は自分を壊していくものだなっていうのを改めて感じましたし、自分がこれから向き合っていかなきゃっていう気持ちが強まりました」

ブランさん

「ほんと参加して良かったなって思っています。自分は、子どもと一緒にいられるのは当たり前じゃないってことに、気づかせてもらった。実は収録の翌日に子どもからお手紙をもらって。『いつもみんなを心配してくれてありがとう』って。すごくそれで涙流しちゃって。これは絶対捨てられないなって思いましたね。今までは人から大切なものをもらっても気づけずにいたんですけど、これは大切なものだなって。家族やパートナーと過ごす時間が、今までよりずっと温かみを感じられるようになったかなっていう気がします」

他者との交流のハードルを下げ、さらには距離感を縮めることも可能なVR空間。「VR×社会課題」プロジェクトでは、今後もVRの有効活用法を模索していきたいと思います。

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この記事のコメント投稿フォームから番組への感想やブランさんへのコメントをお待ちしています。

みんなのコメント(1件)

体験談
ゴン太くん
50代 男性
2023年11月19日
いわゆる「され夫」でもその後15年一緒にいます。彼女は未だ自分の方を向いてくれません。原因は自分。でもその後の自分にも何かあるのでしょう。別れないのは子供のためって訳じゃないかな。発覚したあの日からずっと消えたくて。数年レッグカット、過食嘔吐で、過食嘔吐だけはクセになってしまって。いまは仏教、献血、武道に支えられて生きてます。でもぼくまだ好きなんです。多分。