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元妻に不倫をされた“サレ夫”男性34歳が、自分の悩みを吐き出したいとVR空間に飛び込んでみたら…いろんな生き方があっていいと思えるようになった/『プロジェクトエイリアン』出演者のその後

現実社会では出会わないような4人が、自分が何者かを伏せたままVR空間上でエイリアンのアバターに身を包んで交流する番組「プロジェクトエイリアン」。

参加者の1人で、元妻に不倫をされた“サレ夫”すぐるさん(34歳/仮名)。不倫がキッカケで心の病をわずらい、仕事を辞め、今も女性不信に陥っていると語ります。VRでの交流を経て、いったい何を感じ取ったのか、取材しました。

(「プロジェクトエイリアン」ディレクター 神谷友輔)

【関連番組】 NHKプラスで11/26(日) 午前1:21 まで見逃し配信👇

人生が変わった“パートナーの不倫”

『プロジェクトエイリアン』では、VR空間を舞台に、見た目に影響されないアバターでの交流を通じて、ジェンダーや国籍などを理由とした“分断を乗り越える”きっかけとなる場を作ろうとチャレンジしています。元妻に不倫をされ女性不信になったすぐるさん。当時の状況について語り始めました。

すぐるさん

「元妻がパートなのに残業で帰りが遅いとか、携帯を裏向きで置いたりとか。急に下着を買い足してとか、怪しいなと思って携帯を見たら、不倫をしていたみたいな感じです。内容は『気持ち良かった』とか『私たち体の相性がいいよね』みたいな生々しい内容だったりとか、いちばん嫌だったのは、僕の悪口を不倫相手に言ってるみたいなのが…頭真っ白ですよね、普通に。震えました」

すぐるさん

「相手は僕も実際会ったことがある人でしたね。僕が家にいない間に家に入れてっていう。2年気づかなかったっていう感じですね。それだけ相手を信じてたし。ずっと一緒にいるもんだろうなとも思ってたし、疑ってもなかったんですよね。楽しかった2年間みたいなのが全部、ウソみたいというか。それでメンタル崩して精神科行って薬飲むみたいな。基本的に不安だし、発覚したみたいな時の携帯見た時の感情とか光景とかが急にフラッシュバックするみたいなのに襲われたりとか。不倫されたことばっかり考えてるし、仕事のタスクとかも全然消化できなかったりとか。結局辞めましたね、仕事を」

その後、子どものことを考えて関係性の再構築を図りましたが、協議離婚をすることになりました。

すぐるさん

「ひどいことされたけど、子どものためを考えると、もう一度みんなで楽しく暮らせるようになるんだったら、少々僕が苦労してでも家庭維持しようかなという気持ちがあったから、再構築を選んだって感じですね。でも元嫁が結局不倫相手に全部気持ちがいってしまったんで、愛されてない人と一緒に暮らすのは結構苦痛ですね。限界が来たんで協議して、親権は元嫁にして…離婚したみたいな感じですね」

友人たちからの支えもあって徐々に気持ちも回復してきたというすぐるさん。次の恋愛に進もうと努力しますが…。

すぐるさん

「周りの後押しというか、『それ癒やせるのって、もう次の人じゃね?』みたいな話をよくしてて。次に踏み出してはみたけど…彼女に申し訳ないですけど、どっか疑いの目とかで見るし、どうしても。この人、浮気するかなせんかなでやっぱ見ちゃうんですよ。携帯いじる頻度とか、友達と行くって言ったけどワンチャン男と会ってる可能性もあるよねみたいな。結局飽きちゃったら捨てるんじゃんみたいな、とか。裏切るでしょ?っていうふうに見えちゃうんですよ。きついっすね…きつい。もういいです。もうされたくないですね」

VR空間で“エイリアン”になってみて気づいたこと―

番組では、現実社会では交わり合わない4人が外見や素性を伏せて、エイリアンのアバターに身を包みVR上で一緒に月面旅行をしてもらいました。すぐるさんには、プロジェクトエイリアンの世界はどのように映ったのでしょうか?

すぐるさん

「参加してみると、いろんな人がいて多様な生き方があるんだなぁと思う機会が多かったです。ただ、自分以外がみなさん女性だったんですが、VR空間でアバターで出会っても、女性の声だとわかって抵抗を感じちゃったんですよね。『ちょっと孤立しちゃうな僕』と思いました。入りにくいというか、もしかすると僕の発言を真っ向からほかの3人に否定されるみたいな可能性もあるんじゃないかなとか。女性と接することに対して僕が臆病になっちゃっていることに改めて気づきました」

そんなすぐるさんにとって、いちばん印象に残っているのは自身の性依存がキッカケで離婚したという女性・ブランさん(34)でした。

すぐるさん

「離婚歴があることや子どもとの面会があることが原因で、新しくつきあおうとしている女性からいろいろ言われたという話をしたところ、ブランさんから温かい言葉を頂けて。『子どもと会うのは子どもの権利だし』って言って下さった。その時はブランさんがどんな人かわかっていなかったのですが、男性でも女性でも子どもを思う気持ちはおなじなんだなって自然と思えたんです」

すぐるさん

「ブランさんが実は性依存の方で…と知ったときは、あまり驚きはなく、やっぱりと思いました。会話の端々から恋愛経験が豊富そうな気がしたので、もしかしたら“した側”なのかなと思っちゃっていたのですが、その通りでした。でも、僕の話や気持ちを聞いたときに『私が裏切ったことには変わりないし、それだけ深く傷つけたっていうのをすごく感じて…気持ちを知れてよかったです』と言葉を聞いて、いろいろと思ったんですね。基本的に、不倫する人って、あまり悪いと思ってないのかなみたいなのがあったんですけど、反省というか、ああ、こういうことしてしまったんだって、ちゃんと思う人もいるんだなっていうのが分かっただけでも、すごい収穫かなって思えたんです」

すぐるさん

「いろいろな方と話していくなかで気づいたのは、うちの夫婦が崩れたのってやっぱ、話し合いができなかったからだと思ったんです。子育てもあるし、仕事もあるし、自分の身のうちや正直な気持ちを明かすタイミングが、だんだんだんだん無くなっていって…ちゃんと話し合いができれば良かったなと。今回参加することで、自分のものさしというか、価値観みたいなものにとらわれてたなみたいところを知りました。いろんな生き方を見出していくように視野が広がったなという気が自分はしてます」

他者との交流のハードルを下げ、さらには距離感を縮めることも可能なVR空間。「VR×社会課題」プロジェクトでは、今後もVRの有効活用法を模索していきたいと思います。

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みんなのコメント(1件)

感想
鯛焼き
60代 男性
2023年11月25日
私は「すぐる」さんと同じような経験をしたことはなかったので、壮絶な歩み(人生)を私ごととして考えることはできませんでしたが、次に踏み出してもどこか疑いの目でみてしまうという気持ちは、わかるような気がしました。男性お一人だけの参加でしたが、VR空間での交流をつうじて収穫があったようでよかったです。私もVR空間に飛び込んでみたくなりました。