群馬 なぜ“ドライブスルー県”? 車社会で100m未満でも乗車
- 2023年06月26日
大手ハンバーガーチェーンなどのファストフードは当たり前。すしや鳥の弁当という食べ物にとどまらず、メガネやクリーニング、質店まで。すべて、群馬にあるドライブスルーの店舗です。
なぜ、こんなにドライブスルーが多いのか?
専門家の分析も含めて、深掘りしました。
(前橋放送局 記者 阿部未和・中藤貴常 リポーター 阿部千明/2023年6月取材)
並んで食べた ドライブスルー“うどん”
6月22日。
国内外に店舗を展開する大手うどんチェーンの「丸亀製麺」が、渋川市の国道沿いにドライブスルー対応の1号店をオープンしました。
店舗が用意したのは、車のドリンクホルダーに収まるカップ型の容器に入ったうどんなど。訪れた客はさっそく車に乗ったまま注文し、商品を受け取っていました。
みなかみ町から来た20代の男性
「午前8時すぎから並びました。長距離で移動することが多いので、気軽に立ち寄れる場所ができてうれしいです」
群馬が海外展開の“試金石”
チェーンの運営会社は、なぜ、群馬を「第1号」にしたのか?渋川の店舗でノウハウを蓄積し、ニーズの高い海外への展開も目指すというのです。
運営会社 新開瞬さん
「ドライブスルーに慣れている群馬の人たちに認めてもらえれば、ほかの場所にも出店できると考え、1号店の場所に群馬県を選びました。この店での結果を踏まえて、今後の展開を考えていきたい」
すし店 コロナ禍も追い風に
群馬にはドライブスルーの「大先輩」がたくさんいます。
こちらは、太田市の創業60年あまりのすし店です。およそ40年前に当時の店主がアメリカで流行しているのを雑誌で知り、ドライブスルーを導入しました。
現在では、店を訪れる人の3分の1がドライブスルーの利用客で、持ち帰り用のいなり寿司や巻き寿司を購入しているということです。
すし店代表 笛木孝浩さん
「コロナ禍もあってここ数年は利用客がかなり増えていて、車が多い群馬に合っているのだと思う」
鳥の弁当 “群馬のソウルフード” 店増やしたい
客の6割ほどがドライブスルーを利用する店もあります。
鳥肉料理を提供する前橋市内の店です。
客の40代女性
「天気が悪くてもすぐに窓から受け取れて楽なのでよく利用しています。小さい子どもがいて気を遣わなくて済むのでありがたいです」
店の運営会社 草処真吾さん
「群馬は車社会なので新業態として始めたが、予想よりも利用客が多くて驚きました。群馬のソウルフードなので今後も店舗を増やしていきたい」
県内には、このほかにも、メガネの販売店やクリーニング店、それに質店などのドライブスルーの店舗があり、県民のニーズに応えているのです。
“ドライブスルー県” 深掘りしてみると・・・
なぜ群馬はドライブスルーが盛んなのか。
「車社会」であることが最大の理由です。
それを裏付ける驚くべきデータがあります。
4人に1人(=26.9%)が「100メートル未満の距離でも車を使う」というものです。
歩いてもすぐに行ける距離でも「車」です。ただ、それだけではない、と指摘する専門家がいます。
群馬大学の小竹裕人教授は、群馬県の特徴として「店の敷地に十分なスペースがあること」と「鉄道よりも道路網が整備されていること」をあげました。そのうえで、車から降りなくていいため、群馬特有の「暑さ」や「からっ風」をしのげることなどがあげられると話していました。
今後、県内でどんな業種のドライブスルーが展開されていくのか、ますます注目が集まりそうです。