群馬デジタル技術で課題解決へ物流・教育・災害現場で活躍

2023年04月27日

ほっとぐんま630

「日本最先端クラスのデジタル県」を目指す群馬県。G7＝主要7か国のデジタル・技術相会合の高崎市での開催をきっかけに、デジタル化の推進を一層図ろうとしています。

でも、私たちの暮らしに、どんなメリットがあるの？

そう感じている方、多いと思います。

取材を進めると、今、日本が直面する深刻な課題の解決に向けて、群馬の企業や大学の企画・開発したデジタル技術が生かされていることがわかってきました。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（前橋放送局記者田村華子／2023年4月取材）

「2024年問題」解決へ “完全無人トラック”

まず訪ねたのは、安中市の運送会社です。
敷地内を走るトラックには…。

ドライバーがいません。
運送会社が行う「完全無人トラック」の実証実験です。

物流業界で課題となっている「2024年問題(人手不足の深刻化や輸送量減少への懸念)」の解決の一助になると開発企業は強調しています。

では、このトラック、なぜ、ドライバーなしで走るのかというと…。

車体の左右にある衛星情報の受信機。

そして、前と後ろにある8つのセンサーで今の位置と障害物の情報をキャッチしているからです。

今走るのは工場の敷地内がメインですが、一部認められている公道の走行の際は、人がタブレット端末で指示をしています。

安中市の運送会社武井宏社長
「かなりニーズは高まっているのではないかと思う。（公道を走る際などのための）積極的な法律改正、現場の情報に基づいた（法律の）整備が必要だと思っている。G7(デジタル・技術相会合)の中でこのような議論が活発化されることを大いに期待している」

部活動の課題解決へ体力データの新システム

「働き方改革」が急務の教育現場をサポートする動きもあります。
「教員の負担軽減」と「運動部活動の成果アップ」、一挙両得を狙った群馬大学の技術です。

脂肪や筋肉を測定する機械に継続的に乗ることで…。

そのデータが瞬時に蓄積されていくのがこのシステム。
その場に先生がいなくても、1人1人の選手の情報を、しっかり追えます。

群馬大学数理データ科学教育センター中村賢治博士
「例えば、この生徒さんはケガをして筋肉量がどっと落ちました。一緒にリハビリメニューを作りながらトレーニングした結果、筋肉量が回復して前よりもパフォーマンスが上がって復帰しました」

変化が一目で分かって、選手はパフォーマンス向上につながり、先生は時間に縛られずにきめ細かな指導ができると期待されています。

群馬大学数理データ科学教育センター中村賢治博士
「デジタルの力を使って、個々人に合ったサポートをしたいと考えています。デジタルに積極的な県というのは、群馬しかないと思っています。ですので、群馬で第2、第3のイノベーションを興していきたい」

いち早い救助へ AIカメラ搭載のドローン

命の現場でのデジタル技術の活用も急ピッチで進んでいます。
それがこのドローンです。

そのカギは搭載されている、AIカメラ。

上空からAIカメラが人や物体を発見します。

即座にその場所をマッピング＝地図上に表示できます。

すでに河川のパトロールに使われていて、今後は、災害現場での活用も進めるということです。

ドローンの企画・開発を行う高崎市の会社吉澤明修事業部長
「AIを使うことで、今まで人が1つ1つチェックしなければならなかったことを、ドローンがチェックできます。なかなか、群馬からもの（最新技術）を発信することは少ないので（G7デジタル・技術相会合は）いいチャンスなので、積極的にドローンやITを発信していければと思っています」