がんから脳卒中を発症する原因 治療によって血栓ができやすくなる?

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がんになると血栓ができやすくなる!

がん患者さんが亡くなる原因として、がんそのものに次いで多いのが、脳梗塞を含めた血栓塞栓症です。がんがあると、脳梗塞の原因となる血栓ができやすくなり、脳梗塞を発症する確率が約2倍になるという調査結果もあります。

がんから脳卒中 その原因とは?

原因① トルソー症候群

トルソー症候群

がんがあると血栓ができやすくなるその原因の一つが、トルソー症候群です。
ある種のがん細胞は、血液が固まりやすくする物質を分泌し、その結果、血栓ができて脳梗塞の引き金となります。脳卒中を引き起こした半数近くがトルソー症候群を発症したという報告もあります。
トルソー症候群は、肺がん(特に肺腺がん)、胃がん、大腸がん、乳がんや子宮頸がんの患者さんに多くみられます。そのため、若い女性が脳梗塞を発症した場合には、乳がんや子宮頸がんを疑って検査を行います。

原因② がん治療

がんの治療により脳卒中のリスクが高くなることがあります。

抗がん剤などのがん治療薬

抗がん剤などのがん治療薬は、がんの治療には重要な薬ですが、がん細胞だけでなく、正常な細胞にも影響を与えるため、時には重い副作用が現れます。血管を傷つける副作用がある薬では血栓ができやすくなる場合があります。また、心臓に負担のかかる薬では心房細動が起こりやすくなります。

脳卒中のリスクのある抗がん剤

放射線治療

放射線治療では、治療を行う場所によって影響が出る場合があります。咽頭がん、甲状腺がんなどでは、首に近いところにあるがん細胞に放射線を当てるため、頸動脈が傷ついて血栓ができやすくなり、脳梗塞のリスクが高まります。

がん治療中は脳卒中にも意識を

がん治療中は大変だとは思いますが、脳卒中のリスクにも気を配ることが大切です。手のしびれや、ろれつが回らないなど異変を感じたらFASTチェックを行いましょう。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2022年2月 号に掲載されています。

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