孤立が健康のリスクに!? 社会とのつながりを保つ秘けつとは

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孤立が病気や死亡を招く!

今、私たちの健康に重大な悪影響があると懸念されているものがあります。「孤立」です。

社会とのつながりが少ないと死亡リスクが飲酒・喫煙・肥満より上回る

このグラフは、私たちの死亡リスクが何によってどれぐらい高まるかを示しています。「孤立」つまり「社会とのつながりが少ない」ことは、喫煙、過度の飲酒、肥満を上回るリスクなのです。

孤立が引き起こす病気の発症リスク

また、社会とのつながりが少ないと、脳卒中や心臓病は1.3倍、認知症は1.5倍発症しやすくなります。

孤立がよくない理由としてはストレスの影響が考えられます。私たちが孤独を感じているとき、脳には体の痛みに等しいほど大きなストレスがかかっています。ストレスは心や体を害します。脳や心臓の血管にもダメージを与え脳卒中や心臓病に直結します。

反対に、社会とのつながりが健康寿命を延ばすことも立証されています。ボランティア、趣味、けいこごとなどのグループ活動に参加している人は、そうでない人に比べ、自立した生活を長く維持できているのです。

楽しいつながりが大事

さまざまな活動に「楽しんで」参加することも大事です。

3年後、自立した日常生活が送れないリスク

「3年後に自立した生活を送れなくなるリスク」を調べた研究では、「社会参加に消極的で参加していない人」のリスクを1とすると、「すすんで参加している人」は0.52と半分近くまで下がります。一方「参加したくないが参加している人」は0.94とほとんど下がっていません。

苦手なことや苦手な人がいるグループに参加しても、かえってストレスになりかねません。そのときの自分に「居心地のよいつながり」を見つけることが不可欠と言えます。

つながるために!3つの秘けつ

とはいえ、これまで家に閉じこもりがちだった人が、急に社会とつながりましょうと言われても、尻込みしてしまうかもしれません。そんな方でも社会参加できるよう、秘けつを3つお教えします。

社会とつながるための3つの秘けつ

1つめは「がっつり参加」でなくても「ちょこっと参加」でもOK。マイペースでいいのです。がんばり過ぎると燃えつきてしまう心配もあります。また「社会参加」を大げさに考えることはありません。自分の買い物のついでに買い物代行のボランティア、出かけるついでに近所の方の見守り、といったことから始めてはどうでしょう。

2つめは「自分が楽しめることを」。人の役に立つかどうかにこだわらず、自分のための活動でまったくかまいません。また、「これなら楽しめる・やりたい」という活動をじっくり探してください。今すぐ見つからなくてもかまいません。人生100年時代、気長にいきましょう。

3つめは「仕事も つながりの1つ」。会社一筋だった人がいきなり地域などのグループに飛び込むのは簡単ではありません。その場合、退職してからもある程度仕事を続けてはどうでしょう。それが新しい社会活動へのソフトランディングにつながります。

つながりの目安は?

社会とのつながりは、どれくらいあるといいのでしょう。

社会とのつながりの目安

「1日1回以上外出」。犬の散歩でもコンビニへの買い物でもなんでもかまいません。きっちりした用事がなくても意識して外に出ましょう。
「週1回以上友人・知人などと交流」。これまでにつきあってきた友人や知人との関係を大事にし、積極的に連絡を取り合ってみるといいでしょう。
「月1回以上楽しさ・やりがいのある活動に参加」。さまざまな活動があります。自分が楽しく活動できそうなものを探してほしいと思います。

この3つをクリアすれば、自立した生活を維持しやすいという研究結果が出ています。目安として、ぜひ覚えておいてください。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2022年4月 号に掲載されています。

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