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一人も取りこぼさない社会をめざして

大阪府豊中市のコミュニティソーシャルワーカー・勝部麗子さん。地域や家族から孤立する人々に寄り添い支える日々を綴ります。

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2020年03月16日 (月)

あらたな地域共生の拠点が誕生(1)

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空き家を活用した新しい拠点

 

空き家が「あぐり」の活動拠点に

「豊中あぐり」という、定年退職後の男性たちが都会の真ん中で農業に取り組む事業を始めて、4年目になります。元々宅地だったところに畑を作って、野菜づくりをすると共に、ボランティア講習に参加してもらって地域福祉の担い手にもなっていただくという事業です。すでに豊中市内で、6か所の宅地を借りるようになり、参加者も140名を超えて、定年後の男性たちが次々と参加してくれる基盤ができてきました。

去年の夏、最初にオープンした菜園の近くにお住まいの方から、「ずっと空き家になっている家があるのですが、もし『あぐり』さんが使ってくれるんだったら、家をつぶして農地にしましょうか?」と申し出がありました。でも、すでに農地として貸してくださるところはだいぶ増えていたので、「家ごと貸していただけないでしょうか?」というお話をさせていただきました。

それまで「あぐり」のメンバーたちは、農地で集まってミーティングをして帰るということを繰り返していたり、近くの地区会館を日時を決めて借りてボランティア講座などをやったりしていたんですが、外でミーティングをしているとなかなか集中できないし、何時でも使える拠点があるといいな、と思っていたところだったんです。でも簡単に拠点が手に入るとは思っていなかったので、お申し出をいただいたのは本当にラッキーでした。

ただその家は、長年ずっと空き家になっていたので、中には荷物もたくさんあるし、庭も草木の手入れができていない。実際に貸すとなると、ご家族もどうしたものかと悩まれていたのですが、そこで力を発揮したのが「あぐり」のメンバーたちです。

庭の手入れをする人、ドアのペンキ塗りをする人、部屋の内装を修繕する人、電気製品のうちで使えるものを見分けて修理して管理をする人。これまでも得意なことをそれぞれ協力してやってきたので、あっという間に家がよみがえりました。

この拠点には、大勢が集まるので、家具やテレビ、パソコンなども近隣の方々などから譲っていただきました。食器類なども、50人くらいがみんなで食事ができるくらいに整いました。

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新しい拠点の外観

 

地域共生の拠点に

「あぐり」のメンバーや地域の人たちの協力で整備された家は、台所も事務所スペースも茶室もあって、さらに、ガーデンパーティもできるくらいに大きなお庭もある、とても広くて落ち着く素晴らしい場所です。ここを有効活用して何ができるだろうかと考え始めました。

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もちろん「あぐり」のメンバーの拠点でもあるのですが、「あぐり」の活動にプラスして、いろんな地域交流の活動ができる場所にしてはどうだろうか。たとえば、「あぐり」の野菜を使って子ども食堂を開く、認知症の方たちが参加するカフェである“オレンジカフェ”を開く、男性たちの居場所として趣味の活動をする、子どもの居場所にして学習支援を行うなど、いろんなことが考えられます。「あぐり」のメンバーに、プラスアルファ、いろんな人たちの居場所として、地域共生フォーラムとしてその拠点を使っていこうということに決めました。

名前は、居心地のいい仲間が集まれる場所ということで「和居輪居(わいわい)」とつけました。開所式を10月にやったんですが、カッコよく始めようということで、看板は書道家の先生に書いていただき、ロゴも作ってエプロンを作ったりして、まわりにもPRしています。

これまで「すべての人に居場所と役割を」ということで、土を耕したり、田植えをしたり、野菜を育てたり、米や野菜を売ったり、農業でさまざまな取り組みをしてきたんですが、住宅が手に入ったので、拠点を管理・運営するのもまた役割になるわけですね。

料理が得意な人、家の修繕ができる人、庭の手入れができる人、拠点に対してそれぞれができることを提供できるようになりました。今年の正月には、田んぼでとれた稲わらを使ってしめ縄を作ったり、自分たちで作った葉牡丹と千両を使って、ちょっと雰囲気のある寄せ植えを作ったり。いろいろと楽しめることが増えていっています。

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開所式

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一人も取りこぼさない社会をめざして

勝部麗子さん(コミュニティソーシャルワーカー)

10年前、大阪府で初導入された地域福祉の専門職=コミュニティソーシャルワーカーの第一人者。大阪府豊中市社会福祉協議会・福祉推進室長として、様々な地域福祉計画・活動計画に携わる。2006年から始まった「福祉ゴミ処理プロジェクト」では、孤立する高齢者に寄り添い、数多くのゴミ屋敷を解決に導いた。厚生労働省社会保障審議会「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」委員。信条は「道がなければ作ればいい」。

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