地域づくり情報局

一人も取りこぼさない社会をめざして

大阪府豊中市のコミュニティソーシャルワーカー・勝部麗子さん。地域や家族から孤立する人々に寄り添い支える日々を綴ります。

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2020年03月27日 (金)

あらたな地域共生の拠点が誕生(2)

kodomo-shokudo.JPG和居輪居食堂 クリスマス会

 

子ども食堂と学習支援

「あぐり」の野菜を使った地産地消の子ども食堂、「和居輪居食堂」をここで始めました。男性たちが食事を作るというのが新しい試みです。もともと定年後の男性たちを対象にした料理教室をずっと前からやっていたのですが、そこの卒業生のメンバーを中心に、子どもたちにも食べてもらおうということで定期的に開いています。

子どもたちにとっても、おっちゃんたちとの出会いがとても楽しいようです。「おっちゃんたち、みんな同じ顔してるから覚えられへん」と言って「〇〇のおっちゃん」と名前をつけたり、おじいちゃんみたいな人たちになついたりして、ほほえましい姿も見ました。

12月はクリスマス会ということで、おっちゃんたちはサンタに扮装して、1月にはみんなでしりとりをしました。子どもたちの頭の回転の速さにみんなで感心したり、意外な言葉を知ってるので大笑いして。

テレビゲームのような遊びではなくて、百人一首を使った“坊主めくり”のような、コミュニケーションができる昔の遊びをメインにするので、すぐにみんな親しくなって、大人も子どももいっしょに楽しい時間を過ごせます。これも和居輪居食堂の楽しみの時間のひとつです。

食べたあとは、子どもたちは別室で大学生の人たちに学習支援をしてもらっています。その間に、おっちゃんたちは片づけをする。不登校気味だった子がいて、最初は知らないところに行くのにちょっと抵抗があったんですが、実は坊主めくりが得意だったんですね。それをみんなでやったのがすごく楽しかったようで、「また来たい。次は算数を教えて欲しい」と。いい交流ができています。

 

地域交流へ、夢は広がる

oishi-coffee.jpgおいしいコーヒーの立て方講座

 

男性の社会参加の方法として、今までは野菜づくりがメインでしたが、家ができたことで、いろいろな趣味の活動を広げるとりくみをしようと、第一弾は「おいしいコーヒーの立て方」で講座を開きました。地元でコーヒー豆を販売されている専門店の方に講師になっていただいて、豆から挽いてコーヒーをおいしく淹れる方法をおしえていただきました。

そば打ちも計画しています。あと、庭が広いのでピザ窯を作って、「あぐり」の野菜を載せて焼いて食べようという計画も。講師の方にとっても、習う人と出会い、地域との交流が進んでいけばモチベーションが上がるし、社会参加になります。

拠点の家ができたことで、メンバーからもいろんなアイデアが出てきています。これまで以上に会員同士の横のつながりが出てきていますし、互いにおしゃべりする機会が増えています。これまでの野菜作りだけでなく、介護の話をしたり、健康の相談をしたり、一緒に俳句を作ってみようという話が出てきたり。もともと男性同士は交流しにくいというふうに思っていたんですが、拠点ができたことで、一気につながりができてきました。

さらに子どもたちが食べに来てくれるから、おっちゃんたちもやる気が出るし、おいしい食事が出るから子どもたちも楽しみにする。

これまで「一人も取りこぼさない。」「排除でなくて包摂を」「支えられた側が支える側に」「すべての人に居場所と役割を」という目的で活動を続けてきました。これからも、地域の中で役割を作っていくということを、農業とは別のバージョンで展開していける拠点として様々な形で実験していきたいと思います。多世代交流、地域共生交流を具体化していく一つの拠点として、いろんな可能性が生まれてくるといいなと、いま、ワクワクしています。

asaichi.jpg

朝市

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一人も取りこぼさない社会をめざして

勝部麗子さん(コミュニティソーシャルワーカー)

10年前、大阪府で初導入された地域福祉の専門職=コミュニティソーシャルワーカーの第一人者。大阪府豊中市社会福祉協議会・福祉推進室長として、様々な地域福祉計画・活動計画に携わる。2006年から始まった「福祉ゴミ処理プロジェクト」では、孤立する高齢者に寄り添い、数多くのゴミ屋敷を解決に導いた。厚生労働省社会保障審議会「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」委員。信条は「道がなければ作ればいい」。

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