放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英BBCのロイヤルウエディング放送に2,000万人視聴

ウィリアム王子とキャサリン・ミドルトン嬢の結婚式典が2011年4月29日に行われ,公共放送BBCは,式典の模様を中心にテレビ,ラジオ,インターネット,ツイッターを使って中継した。地上テレビBBC ONEによるウエストミンスター寺院での式典ライブ中継は2,000万人が視聴し,占有率は70%だった。また,見逃しサービスのiPlayerでの視聴を含めると3,400万人以上がBBCのテレビ中継の少なくとも一部を視聴した。

英SeeSaw,サービス終了

イギリスのインターネット経由でテレビ番組のビデオ・オン・デマンド(VOD)サービスを提供するSeeSawは5月27日,サービスを6月20日に終了することを明らかにした。SeeSawは,送信事業者のArqivaが2009年7月にBBCや地上商業テレビ事業者を中心に計画されていたネット上でのVODサービスのプラットフォーム事業を買収したもので,チャンネル4とチャンネル5のテレビ番組を無料・有料で提供するサービスを行ってきた。

英ゲール語サービスのBBC Alba,地デジで提供開始

ゲール語やゲール文化の保護と継承を目的に設置された法定機関のMG Albaと公共放送BBCとによるテレビサービスBBC Albaが,6月8日から地上デジタル放送のFreeviewで放送を開始する。これによって,デジタル移行が完了したスコットランド地域ではすべての住民が視聴できるようになる。MGAlbaはスコットランド議会からの交付金で運営されている。

仏公共放送コネクトTVへの配信開始

公共放送フランステレビジョンは,放送とインターネットが融合したいわゆるコネクトテレビで,ヨーロッパの共通規格に採用されているHbbTV(Hybrid broadcast broadband TV)に対する配信サービスを,日本のメーカーPanasonicなどの協力で5月から開始した。HbbTVでは,サッカーの試合を見ながら同じ画面でインターネットにつないで選手の情報や専門家の解説コメントなどを得て,それをツイッターなどのソーシャルネットワークを通じて送信することもできる。フランス国内のコネクトテレビの販売は2010年末までに75万台だが,2011年中には一気に260万台に増えるものと予想されている。

独ZDF,新チャンネルZDFkultur放送開始

ドイツの公共テレビZDFは5月7日,これまでの舞台芸術専門チャンネル「ZDFtheaterkanal」を終了し,代わりとして,ポップカルチャーを中心に,現代の新しい文化状況を幅広く紹介する文化専門チャンネル「ZDFkultur」の放送を開始した。さまざまなジャンルのポップ音楽のほか,舞台芸術,コンピューターゲーム,インターネットなどにも焦点を当て,主に若い世代の視聴者の獲得をめざす。チャンネルのコンセプト変更は,2009年6月の法改正の際に審議され,承認されている。

伊RAI会長に初の女性会長が就任

イタリア公共放送RAIの経営委員会は,5月4日,マウロ・マージ会長の辞任を受け,後任に副会長のロレンツァ・レイ氏を任命することを満場一致で決定した。RAI会長に女性が就任するのは初めて。レイ氏は50歳,RAIでは1997年の入局以降,大聖年特別プロジェクト長,人事総務局長などを歴任し,2009年から制作・経営計画担当の副会長を務めていた。前会長のマージ氏は,イタリア銀行出身で,第2・第3次ベルルスコーニ内閣で次官を務めたこともあり,2009年4月のRAI会長就任以来,同首相寄りの人事を行っているなどとして野党に度々批判されてきたが,4月末,公的保険サービス代理機関(CONSAP)の理事長就任のため,任期1年を残して辞表を提出していた。

アイルランド無料地上デジタル放送Saorview本放送開始

2010年10月より試験放送を行っていた公共放送RTÉの無料地上デジタル放送Saorview が,5月26日より本放送を開始した。Saorviewは,RTÉのチャンネルやアイルランド語公共放送TG4,商業放送TV3を含む9チャンネルを放送している。地上デジタルの有料サービスは,2012年のアナログ放送終了後に開始となる見込み。現在,約21%の世帯がアナログ放送のみを視聴している。