放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

2011年5月

5.10東北3県アナログ延長 電波法特例法案,国会提出

政府が,東日本大震災に伴い東北3県の地上アナログテレビの放送終了を最大で1年間延長するため,電波法に特例を定める法律案を国会に提出した。デジタルへの切り替え後もアナログ放送を継続するためには多額の経費がかかるため,放送事業者の負担を考慮して,延長期間の電波料免除などが盛り込まれた。

5.12民放キー局5社の3月期決算

民放キー局5社の2011年3月期連結決算が出揃った。東日本大震災で,各社は2日~4日間CM抜きの放送を行ったが,震災前の広告収入が好調だったため,フジ,日本テレビ,テレビ朝日の3社は増収・増益だった。視聴率が低迷したTBSは2.4%の減収だったが10年度は黒字となった。テレビ東京は初の連結決算で前期比較はできず,単体では2.0%の減収。売上高は,フジ5,896億円,TBS3,427億円,日本テレビ2,978億円,テレビ朝日2,353億円,テレビ東京1,073億円。

5.16 「radiko.jp」被災地ラジオ7局を全国配信

ラジオ放送をインターネットで同時配信する「radiko.jp」が東日本大震災に伴う風評被害を防ぐため,被災地のラジオ放送を全国に配信する「復興支援プロジェクト」にアイビーシー岩手放送,東北放送,茨城放送の3局が参加した。ラジオ福島,エフエム岩手,エフエム仙台,エフエム福島の4局は4月28日に開始しており,被災地ラジオ7局が出揃った。配信期間は約6か月。

5.19NHKとシャープ,世界初の開発次世代テレビ対応直視型85型液晶

NHKとシャープは,次世代のテレビ放送といわれる「スーパーハイビジョン」に対応する85型液晶ディスプレイを共同で開発したと発表した。スーパーハイビジョン対応のプロジェクターはすでにあるが,液晶による直視型は世界で初の開発。

5.20裁判員制度開始2年民放連が開かれた司法求める声明

日本民間放送連盟は裁判員制度開始2年にあたり,裁判終了直後の会見で録画・録音を認める,会見での裁判員の発言を裁判所が制止しない,などの改善を求める声明を報道委員長名で出した。

5.27NHK教育テレビチャンネル名を「Eテレ」に変更

NHKが,新聞のテレビ欄やテレビ情報誌などのチャンネル名を2011年6月1日から従来の「教育テレビ」から「Eテレ」に変更すると発表した。

5.27放送文化基金賞『封印された原爆報告書』など

2010年度の優れたテレビ・ラジオ番組を顕彰する放送文化基金賞で,ドキュメンタリー部門本賞はNHKスペシャル『封印された原爆報告書』,ドラマ部門本賞はテレビ朝日ドラマスペシャル『遺恨あり~明治十三年最後の仇討~』が受賞した。

5.31日テレが報道番組で倫理違反現場スタッフへの実効的対策が必要

放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会が,日本テレビの報道番組『news every,サタデー』に放送倫理違反があったとの決定を公表した。現場スタッフへの実効的な倫理の実践を工夫する必要があると指摘した。

5.31受信料未払い訴訟最高裁,支払い拒否の上告を棄却

NHKが放送受信料の支払いを拒否した東京都と札幌市の男性3人に対して支払いを求めた2件の訴訟の上告審で,最高裁第3小法廷(田原睦夫裁判長)は,受信料の支払いを命じた2審判決を支持し,上告を退ける決定をした。受信料の支払いをめぐってNHK が起こした訴訟で,最高裁まで争われ,確定したのは初めてである。