放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

ブラジル政府,ブロードバンド計画を変更

ブラジルでは2009年に発表された計画で,2014年までのブロードバンド網構築が国の重要施策として進められているが,1月に就任したルセフ大統領は4月初め,計画を見直してより高速のインターネット網構築を進めるよう関係閣僚に通達した。従来の計画では,インターネットの通信速度について600Kbpsを目標に進められてきたが,変更により1Mbpsを確保することとし,利用料金も月額35レアル(約1,600円)と従来同様に据え置く方針とした。これまでの計画では諸外国に比べて通信速度が遅いことから,大統領自らが変更を指示した。

東日本大震災で被災した石巻日日(ひび)新聞,米報道博物館で永久保存へ

宮城県石巻市の「石巻日日新聞」が震災直後に手書きで発行して避難所などに貼り出した壁新聞を,アメリカ・ワシントンの報道博物館「ニュージアム(Newseum)」が展示および永久保存することになった。震災翌日の紙面には「日本最大級の地震・大津波」とフェルトペンを使って記され,被害状況が報告されている。ニュージアムのクリストファーセン学芸員は4月12日,ホームページで「石巻日日新聞のジャーナリストは自らも被災し,過酷な条件の下で,ペンと紙のみを使って重大な情報を提供するというジャーナリストの基本的な使命を果たした」と展示の意義を語った。

米国際放送VOAの新局長にジャーナリスト出身者

アメリカの国際放送を管轄する政府の放送管理委員会(BBG)は4月18日,著名なジャーナリストのデイビッド・エンザー氏が,6月から米政府の国際放送局Voice of Americaの局長に就任すると発表した。エンザー氏は2010年1月以来,在アフガニスタン米大使館で広報関係部門の責任者を務めているが,かつてはCNNやABCの記者として,ワシントン,モスクワ,ローマ,ワルシャワなどに駐在してロシアやポーランドにおける共産主義の崩壊や,ボスニア,チェチェンなどの紛争を取材した。現局長のD. オースティン氏は,4年半あまりの任期を終えて退任する。

NYタイムズのネット課金,3週間で10万人超が契約

ニューヨーク・タイムズは3月28日からインターネット上の購読を有料にしたが,開始3週間での契約者数が10万人を超えたことがわかった。デジタルコンテンツ情報を扱うPaidcontent.org が4月21日に伝えた。NYタイムズでは,スマートフォンやタブレットPCなどの受信形態にあわせて,4週間で15~35ドルの3通りの料金体系を設定したが,最初の4週間は99セントのディスカウント価格で購読できる。同社では,1年間で30万人の契約者の獲得を目指している。

動画配信サービスのNetflix,契約者2,300万超に

DVDレンタルから動画配信サービスに業態を拡張したNetflixは4月25日,2011年第1四半期の新規契約者数が330万となり,全体の利用者数は2,360万に達したと発表した。これは,アメリカ最大のケーブル事業者コムキャストの契約者数に匹敵するもので,動画配信サービスの急速な普及を物語っている。ケーブル業界では,不況やブロードバンドによる動画配信の影響で契約解除(cord-cutting)する世帯の増加が問題となっているが,Netflixでは「我々のサービスの利用者は,地上放送受信者が多く,ケーブルテレビや衛星放送などの有料放送事業者の脅威にはなっていない」と話している。

CBSアンカーのK.クーリック氏が降板へ

米CBSの夕方のニュース番組を5年にわたって担当してきたケイティ・クーリック氏が番組を降板すると4月26日,People誌に明らかにした。クーリック氏は3大ネットワークのイブニングニュースで初の女性単独アンカーとして,ライバル局NBCの朝の番組から抜擢された。当初は人気を得ていたが,その後視聴率が落ち,ここ数年は3局のうちで最下位を続け,その去就が注目されていた。同氏のCBSとの契約は6月4日までで,その後は報道番組『60ミニッツ』のスコット・ペリー記者が担当する。