放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

中国,メディア規制をさらに強化

中国のメディアを統括する共産党中央宣伝部は1月初旬,メディア報道に関し,物価上昇や汚職などに関する報道を厳しく規制する指令を出した。中国のメディア関係者によると,党中央宣伝部は各メディアに対し,住宅価格や物価の上昇,汚職,再開発に伴う強制的立ち退き,戸籍問題などについて報道や議論をしないよう要求,犯罪報道についても重大な犯罪は議論してはならないと指示した。また党中央宣伝部は各地方紙が相互に情報を交換したり,記者が外国のメディアの質問に答えたりすることも禁止しており,従来以上に統制を強化する内容となっている。この他,広東省の南方都市報のコラムニスト長平氏も同月,当局の圧力で社を解雇されるなど,中国メディアは「冬」の時代を迎えた様相である。

中国CCTV,ドキュメンタリーチャンネル開始

中国中央テレビ(CCTV)は1月1日,ドキュメンタリーチャンネルを正式にスタートさせた。これは中国の対外発信強化の一環として行われるもので,新チャンネルは中国語による国内版と英語による国際版に分けて放送し,自然紀行や歴史・人文,社会ドキュメンタリーなどの内容を1日24 時間放送,世界各地に発信する方針である。

韓国,2010年放送広告売上げは前年比15.9%増

韓国放送広告公社(KOBACO)は1月12日,2010年の地上放送広告売上げ額が2兆2,089億ウォン(約1,600億円),前年比で15.9%の増加であったことを発表した。このうち地上放送3社については,KBSが5,858 億ウォンで前年比13.0%増,MBCは8,213億ウォンで前年比15.0%増,SBSは5,023億ウォンで前年比21.9%増と,各社とも大きな伸びを示す結果となった。背景には大型スポーツイベントの開催による影響があり,KOBACOの売上げ額は,バンクーバー冬季オリンピックで142億ウォン,広州アジア競技大会で183億ウォン,また,サッカー・ワールドカップ南アフリカ大会では韓国代表チームが大活躍したこともあり,733億ウォンを記録した。広告主は上位から順に,SKテレコム,KT,サムスン電子などとなっている。

オーストラリア民放Ten,地デジの新チャンネルElevenを開始

オーストラリアの大手民放Tenは,1月11日,無料デジタル放送の新チャンネルElevenを開始した。他のデジタルチャンネルと差別化を図るべく,Elevenではターゲットを13~29歳の若者とし,TwitterやFacebookと連動したウェブサイトを設けるなど,モバイル・ウェブ・テレビの“3スクリーン”戦略を展開している。また,本家Tenで人気の連続ドラマ「Neighbours」を移設したほか,米CBSとの提携により,世界的人気のアニメ「Simpsons」など豊富なコンテンツの提供が可能となっている。Tenは昨年,デジタルチャンネルの増加に伴って激化する視聴率競争で他局に後れをとっていた。

エジプト,アルジャジーラの活動禁止

大統領退陣を求めるデモで混乱が続くエジプトで,1月30日,当局が汎アラブ衛星放送局アルジャジーラの取材活動を禁止,同国の衛星放送会社によるアルジャジーラの放送電波送信を停止した。アルジャジーラは当局の対応を非難,記者は電話による取材を続けている。エジプトでは28日以来インターネットへのアクセスが出来なくなっており,アルジャジーラの報道が市民の貴重な情報源となっていた。

トルコ,放送関連法案の一部が国会通過

RTÜK(ラジオ・テレビ最高評議会)運営に関する法案を審議中のトルコ議会は,1月5日,トルコ語以外の言語による放送を一部の局に限定している現在の規制を撤廃する条項を,また6日には外国人によるメディア企業投資の規制を50%まで緩和する条項を,それぞれ可決した。同国では現在,トルコ語以外の言語による放送は国営放送TRT(トルコ・ラジオ・テレビ協会)と14の商業放送(ラジオ9局,テレビ5局)にのみ許されている。また現在,外国人投資家による同国メディア企業の株式保有は最高25%に制限されている。法案は大統領の承認をもって確定する。