放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英政府,ローカルテレビ計画を発表

イギリスの放送を所管する文化メディアスポーツ省のジェレミー・ハント担当相は1月19日,「オックスフォード・メディア・コンベンション」で講演し,ローカルテレビに関心がある団体や個人を3月1日まで募り,その後正式な免許募集を行って2012年末までに免許を付与する計画を明らかにした。これと同時に,ハント担当相はメディア・コミュニケーション分野の規制の見直しを行い,既存の2003年放送通信法の改正に着手することも表明した。年内に関係各者の意見の聴取を行い,2015年に改正法を施行する予定である。

英BBC,オンラインの見直しを発表

イギリスの公共放送BBCは1月24日,受信許可料据え置きという政府合意の下,監督機関であるBBCトラストの承認を得て,BBCオンラインの新戦略を発表した。これによって,「360人の要員・25%の予算」の削減が行われる。BBCは,なすべきこと,やるべきではないことを明確に示すべきであるとし,若もの向けサイトの閉鎖,ローカルサイトでのニュース以外のコンテンツの撤去などを具体的にあげるとともに,独自のSNSを開始しないことなども約束している。また,この発表に先立ち,2008年にオンラインを所管する未来メディアテクノロジーの局長に就任したエリック・ハガード氏が2月末で退職することが明かされた。

仏,データ圧縮規格MPEG4導入へ

フランスのベッソン産業相は1月11日,動画や音声などをデジタルデータとして圧縮する規格について,最新式のMPEG4の導入を進める方針を明らかにした。フランスでは2011年11月末,全国でアナログからデジタル放送に切り替わるが,産業相によるとMPEG4規格の導入によって余裕が生じる周波数帯を,インターネットの移動通信などに振り向けるという。フランスでは現在,有料およびHDの地上デジタル放送はMPEG4だが,無料のチャンネルは MPEG2規格で放送されている。

独連邦政府,ドイチェ・ベレの業務改革方針を支持

ドイツ連邦政府は1月19日,政府交付金で運営される国際放送ドイチェ・ベレ(DW)が策定した2013年までの中期業務計画案に関して,DWの業務改革方針を支持する内容の意見書を採択した。DWは2010年11月に,テレビとラジオで分かれていた従来の制作体制の統合,アフリカなど一部地域以外の短波放送の終了,インターネットサービスの強化などの方針を打ち出していた。改革の背景には,世界金融危機以後の連邦政府の緊縮財政と,世界的なメディア利用環境の変化がある。DWはこの後,連邦議会が提出する意見も考慮し,3月までに中期業務計画を決定する。

伊RAI受信料,2011年から値上げで110.5ユーロに

イタリアの放送・通信を所管する経済開発省は,2011年1月1日から公共放送RAIの受信料を1.5ユーロ値上げし,110.5ユーロ(約1万 2,000円)とすることを決定した。受信料の値上げは5年連続で,値上げ幅はインフレ率の範囲内となっている。この値上げにより2011年のRAIの収入は,約2,400万ユーロ(約27億円)の増収となる見込み。しかし,未払い率が3割近くにのぼる受信料の徴収対策としてロマーニ経済開発相が提案し,予算関連法の中で審議されていた「電気代一括徴収案」は,最終的に法案から削除され,成立に至らなかった。ロマーニ大臣は「提案以降,批判だけを浴びた。恐らく時期尚早だったのだろう」と述べた。

アイルランド,モバイルテレビ免許の交付を打ち切り

アイルランドの放送通信規制委員会ComRegは1月7日,デジタルモバイルテレビ免許の交付の打ち切りを決定した。ComReg は同日付の文書で,国内事業者の関心が低く,免許交付の意義が減じた,と理由を述べている。2008年より約2年間,UHF8MHzを用いたモバイルテレビサービスの展開に向けて意向集約をしてきたComRegだが,参入の意思を示した事業者が僅か2社と少ないことに加え,近年の経済危機の影響や,欧州モバイルテレビ市場が縮小傾向にあること,将来的に新たな通信技術や別の周波数帯に移行する可能性があることなどから,現時点での免許交付に消極的な姿勢を表していた。