放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

韓国,KBS理事会,受信料引き上げを議決

KBS理事会は11月19日,臨時理事会で受信料を月2,500ウォン(約180円)から3,500ウォン(約250円)に引き上げ,広告の比重は現在の水準(40%)を維持する案を議決した。この日の理事会では,野党側理事(4人)が示した3,500ウォン案を与党側理事(7人)が受け入れたため,11 人の理事全員一致による議決となった。受信料引き上げ案はこの後,放送通信委員会(KCC)および国会の承認を経る必要があるが,今回の案に対しては,議論の内容が明らかになっていないなどとして与野党双方の議員から反発が出ており,国会での承認は容易ではないとの見方も出ている。

韓国,KCCが放送免許更新を承認

韓国の放送通信委員会(KCC)は11月26日,2010年末に放送免許の有効期限が満了するKBSやMBCなど43の地上放送事業者,合わせて330の放送局に対して,免許の更新を決定した。更新に当たってKCCは,「視聴者保護」に関して多くの改善がなされたものの,地上放送3社によるスポーツ中継権をめぐる争いなど,公的責務遂行の観点から問題があったことを指摘した。放送免許の有効期間は,2010年にそれまでの3年から最長5年に延長されたが,KCCが指摘した問題もあり,多くの地上放送社(36事業者305放送局)に付与された有効期間は3年にとどまった。

香港,地デジラジオ3局に放送認可

香港特別行政区政府は11月5日,高音質で動画や文字などのデータ放送も可能な地上デジタルラジオ放送の認可を3社に与えたと発表した。認可を受けたのは,元ラジオ番組司会者で曾蔭権(ドナルド・ツァン)行政長官と親しいとされる鄭経翰(アルバート・チェン)氏が新規設立したWave Mediaと,フェニックステレビ系のフェニックス・U・ラジオ,それに既存のラジオ局Metro Broadcastの3社である。各社はWave Media が7チャンネル,残りの2社はそれぞれ3チャンネルで広東語を基本とした放送を行う方針で,Wave Mediaは早ければ2011年9月から放送を始めることにしている。このほか現在7チャンネルでラジオ放送を行っている公共放送のRTHKもデジタルラジオ放送を開始する見通しだが,放送を受信するには専用の受信機が必要で,普及が進むかについては疑問の声もある。

台湾,ケーブル大手買収は条件付き認可

台湾最大手のケーブル事業者凱擘(旧東森)を大手携帯事業者の台湾大哥大が買収しようとした事案で,独立規制機関のNCC(国家通信放送委員会)は11月 17日,ケーブルテレビデジタル化のスケジュールを示すことなど15項目の条件付きで認める決定をした。この事案は2009年9月に台湾大哥大が買収合意を発表したが,「メディア集中」などの観点から憂慮を示す学者も多く,NCCでは慎重に審議を進めていた。このため台湾大哥大の経営者は,買収後にケーブルテレビデジタル化の具体的なスケジュール案を提出することや,ケーブルテレビ基本料金を引き下げること,それに新たな許可を得ないままニュースチャンネルを新設しないことなど15項目を約束,これによってNCCは買収を承認することになった。

ネパール,一部放送局の免許が無効に

ネパール情報通信省は11月5日,国家放送規則が定める期間内に開局しなかったとして,FMラジオ65局とテレビ12チャンネルに与えられていた放送免許の無効を宣言した。規則によると,FMラジオ局とテレビ局はいずれも,放送免許取得後1年以内に開局することが定められている。11月5日以前の時点で,FMラジオは428局,テレビは26チャンネルに放送免許が付与されていた。

ニュージーランド,地デジ移行キャンペーン実施

ニュージーランドのコールマン放送相は11月30日,地上デジタル放送への移行を推進する「Going Digital」キャンペーンを全国で展開すると発表した。2013年11月の地上デジタル放送への完全移行を見すえ,関連情報ウェブサイトと専用問い合わせ電話窓口を設けるほか,広報やマーケティング活動も含めて,今後3年間で1,300万NZドル(約8億円)をこのキャンペーンに投入する。現時点ではニュージーランド国民の約70%が衛星かケーブル経由でデジタル放送を視聴しているが,世帯の約30%は新たにデジタルテレビかセットトップボックスを購入する必要があるとされている。