放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米PBSの子ども向けHPがアクセス数で初の1位に

公共放送PBSの子ども向けホームページ「PBSKIDS.org」の2010年9月1か月間のアクセス数が8,800万回に上り,子ども向けサイトの中で初めて1位となった。1人あたりの月平均のアクセス時間も47分と,これまでトップだったサイトの2倍になっていることがわかった。調査会社 ComScoreが11月1日,明らかにした。PBSはiPad向けのアプリを出すなど,多様なプラットフォームでのコンテンツ展開を積極的に行っており,人気番組『おさるのジョージ(Curi ous George)』など3, 800 のコンテンツを無料でストリーミング配信している。

米ディズニー社,ABC直営局の2局を売却へ

米4大ネットワークのひとつ,ABCの親会社であるウォルト・ディズニー社は,10局あるABCの直営局(O&O, owned-and-operated station)のうち,最も規模の小さいミシガン州のWJRTとオハイオ州のWTVGを売却することになったと,業界紙ブロードキャスティング&ケーブルが11月3日に伝えた。同誌は,ディズニーが大都市圏の直営局に経営資源を集中する施策の一環だとしている。正式な売却にはFCC(連邦通信委員会)の承認が必要だが,2011年初頭には許可される見込みで,両局は今後もABCの「系列局(affiliate)」として同ネットワークの番組を放送することにしている。

ブラジル政府,独立規制機関設立に向け国際セミナー開催

放送に関する独立規制機関の設立をめざしているブラジル政府は,11月9日と10日,首都ブラジリアで国際セミナーを開催した。セミナーには,欧米諸国の独立規制機関関係者が出席し,各国の規制機関の現状について報告を行った。ブラジルのルーラ大統領は,かねてより,独立規制機関の設立を盛り込んだマスコミ法案を2010年中に起草したいとしており,今回のセミナーもその準備の一環として開催された。これに対し,マスコミなどからは,規制機関の設立がマスコミに対する検閲につながり,報道の自由の侵害になるのではないかとの懸念の声も出ている。

米NYタイムズ,「電子書籍」のベストセラー欄を新設

放送や新聞・雑誌のプラットフォームが多様化するなか,NYタイムズは,2011年初頭に電子書籍のベストセラー・コーナーを新設すると11月10日,明らかにした。タイムズ紙は1935年からフィクションやノンフィクションのベストセラー欄を掲載しており,“業界標準”として影響力を持ってきた。 2010年はアマゾンのKindle最新型やアップルのiPadなどの端末が次々に発売され,電子書籍の販売額も2009年の3倍に増えるなど,電子書籍が広く普及したことから今回の新設を行ったとしている。

米の有料テレビの契約者数,2四半期連続で減少

アメリカでは,ケーブルテレビや有料衛星放送などの有料テレビの契約者総数が,2010年の第2四半期に続いて第3四半期も減少した。調査会社SNL Kaganの11月17日の発表によると,2010年の4月から6月の第2四半期には,契約件数が21万6,000件減少し,続く7月から9月までの第3 四半期にも11万9,000件減少した。アメリカでは,これまで一貫して有料テレビの契約者数が増加してきており,今回初めて2期連続で減少に転じたことから注目を集めている。減少の要因として景気の低迷による視聴者の収入減少などが挙げられているが,インターネットでの番組視聴の広がりなど,テレビの視聴スタイルの変化も指摘されている。

「ウィキリークス」,今度は米外交文書暴露

アフガニスタンやイラク戦争に関する米軍の機密情報を暴露したことで知られる民間サイト「ウィキリークス」が,11月28日,アメリカ外交当局の公電を公開した。同サイトが入手したとされるのはおよそ25万点に上る文書で,公開されたのはその一部。この中には,北朝鮮がイランに中距離弾道ミサイルを提供していたとする情報や,アメリカと韓国が,北朝鮮の現体制が崩壊し南北が統一に向かう場合を想定して中国側の懸念を和らげるための措置を検討していたという情報も記されている。