放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米アマゾン,独自のVODサービスをスタート

米ネット通販大手のアマゾンは9月3日,映画やテレビ番組をパソコンやテレビにストリーミング配信するVODサービス「Amazon Video On Demand」を始めると発表した。コンテンツには映画やネットワークの番組のほか,ユーチューブやヤフー等のウェブサイトの動画も含まれる。また,今回アマゾンは米ソニーと提携し,ソニーの薄型テレビ「ブラビア」のユーザーが,インターネット接続機能を利用することで,テレビの画面操作をするだけで直接,映画や番組などのコンテンツを購入,またはレンタルできるようになる。

民主・共和両大会の中継番組,史上最多の視聴者

11月に行われる米大統領選に向けた,民主・共和両党の党大会の中継番組が,それぞれ史上最高の視聴者数を獲得した。ニールセン社によると,8月 25~28日に開催された民主党大会では平均視聴者数が4年前に比べ48%増の3,020万人,9月1~4日の共和党大会は同52%増の3,450万人で過去最高であった。ジョン・マケイン,バラク・オバマ両候補の指名受諾演説も視聴者数ではほぼ互角で,マケイン候補4,160万人,オバマ候補4,190 万人であった。両候補はインターネット上のHPを通じた広報活動でも互いに競い合っている。

がん支援テレソン,3大ネットで同時放送

全米で死亡原因2位のがんに関する研究支援を行うためのテレソンが,9月5日,3大ネットワークで同時刻に放送され,1億ドル(約105億円)の寄付を集めた。『がんに立ち向かおう』プロジェクトがスポンサーとなった1時間番組は,アメリカで年間55万人が亡くなるがんの研究を支援しようと,プライムタイムにコマーシャル抜きで同時放送された。番組ではABC,CBS,NBC の看板キャスターをはじめとする出演者が,がん研究の最新状況について議論したほか,音楽やスポーツ,映画界の著名人も多数参加してがん研究への支援を呼びかけ,世界170か国以上に配信された。

グーグル,NBCとの提携でテレビ広告事業拡大へ

インターネット検索最大手の米グーグルは9月8日,NBCユニバーサルとの提携によってNBC傘下のケーブルテレビチャンネル,MSNBC,CNBCなどで放送する広告の仲介事業を始めると発表した。これらのチャンネルは広告枠の一部をグーグルに提供し,グーグルは「Google TV Ads」というサービスを通じて販売する。グーグルは去年から広告事業に乗り出していたが,思うような成果があげられず,広告枠の獲得に苦戦していた。今回のNBCとの提携により,同社の提唱する正確なターゲティング広告の手法がどの程度成果をあげられるか問われることになる。

FCC,デジタル移行周知ビデオを配布

来年2月17日に迫ったアナログ終了・デジタル移行をスムーズに行うため,FCC(米連邦通信委員会)は,告知スポットと周知用ビデオを作り,全米 1,300余りの放送局に配ったと9月17日,明らかにした。スポットは英語版とスペイン語版があり,ビデオでは,デジタル-アナログ変換コンバーターが必要かどうか,接続の仕方,移行後のチャンネル設定方法などを具体的に説明しているのが特徴。テレビ局が放送に使うだけでなく,個人の希望者にも配布することにしている。

相次ぐニュースでケーブル視聴者増加

アメリカでは,7-9月の第3四半期に全国党大会・大統領選挙関連,3つの大型ハリケーン襲来,金融危機など大きなニュースが相次いだことから,ニュース専門のケーブル局で軒並み視聴者が増加したと,ニールセン社が10月1日,明らかにした。1位はFOXNewsで,プライムタイムの平均視聴者数は220 万人と同局にとって過去2番目に高い数字だった。次いでCNNの135万人で,2003年のイラク戦争以来,最も多い数となった。また,MSNBCは,緊急ニュースに力を入れたことから,昨年より80%以上増えて,プライムタイムに平均87万人の視聴者を獲得した。