放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

中国,オリンピックを大々的に報道

北京市をメイン会場に8月8日から24日まで開かれたオリンピックについて,中国のメディアは開幕式や各競技の内容を大々的に報道した。このうち開幕式は中国中央テレビ(CCTV)が1,3,5,7 の各チャンネルと地上デジタルHDチャンネルで中継したほか,中国人民ラジオ,中国国際ラジオそれに一部の局のネットサイトでも中継した。また,中国独自の技術方式(CMMB)を使った携帯向け放送も行われ,受信機を購入した人はCCTVを中心に7 チャンネルを視聴できた。競技に関しては,中国選手の活躍ぶりとともに外国選手の話題も紹介し,中国期待の陸上110メートルハードルの劉翔選手が棄権したことについては,インターネットで批判が相次ぐなか,テレビや新聞は競って劉翔選手を擁護する論陣を張った。

台湾,オリンピック放送に批判相次ぐ

台湾ではオリンピックの中継権を地上テレビ4局が取得したが,台湾の選手が参加する競技の多くが生中継されなかったほか,競技中に頻繁にコマーシャルが入るなど,視聴者から「史上最悪のオリンピック中継」と酷評された。これに対し各局は,生中継が少なかったのは,多くの競技が同時に進行するなかで伝送のためのリソースが不足していたためと説明した。しかし今回のオリンピックでは,TVBSがスペインと中国のバスケットボールの試合で,試合が終わる前に中国が勝ったと報道し,その後スペインが逆転勝ちするなどテレビ局の勇み足が目立ち,もともと評価が低い台湾メディアへの批判が一段と強まる形となった。

韓国,KBS初の「生え抜き」社長が誕生

KBS社長の解任・逮捕を受け,新しい社長に初めて生え抜きで記者出身のイ・ビョンスン(李炳淳)氏が任命された。イ新社長は8月27日,第18代社長就任式のなかで,「KBSが公共放送として発足してから35年,初めて生え抜き社長が誕生した感慨とともに重い責任感を深く刻みつけている」と語るとともに,「放送の公正性と公共性を守ることが,緊急の課題である」と社員に訴えた。一方,就任式の会場前では,前社長を支持する社員ら数十人と警察との間で小競り合いが起きた。

インド,第4の有料衛星放送が本放送開始

新興財閥ADAG(Anil Dhirubhai Ambani Group)傘下のReliance Communications社が運営する直接受信(DTH)の有料衛星放送Big TVが,8月19日,商用サービスを開始した。Big TVは,Dish TV,Tata Sky,Sun Directに次ぐインドで4番目の有料DTH衛星放送プラットフォームで,圧縮技術はMPEG-4を採用している。本放送開始時点の提供チャンネル数は 200で,視聴料金の月額は100ルピーから450ルピーとなっている。MPEG-2で放送されている先発のDish TVやTata Skyは,強力なライバルBig TVの参入に備え,チューナー(STB)の無料化や視聴料金の値下げなどを相次いで打ち出していた。Big TVは,向こう1年以内にDTH市場のシェア40%獲得を目標としている。

インド,Starが新6チャンネル開局を計画

インドでStarの名を冠した多数の衛星チャンネルを運営しているNews CorpのRupert Murdoch会長は,8月4日,訪問先のムンバイで記者会見し,1億ドルを投資し向こう1年以内にインドの地域言語による6つの新たなチャンネルを加えることを明らかにした。インドのメディア情報に詳しいサイトIndiantelevision.comは,Starの新チャンネルにはベンガル語,グジャラーティー(語),マラーティー(語),テルグー(語)などの総合娯楽チャンネルが含まれると報じている。連邦公用語ヒンディー語の総合娯楽チャンネル Star Plusは,2000年以来インドのナンバーワン衛星チャンネルの地位を維持している。

パキスタン,初のIPTVサービス始まる

パキスタンの電気通信会社PTCL(Pakistan Telecommunication Company Ltd.) が,8月14日,Smart TVの呼称で同国初のIPTV サービスを開始した。同サービスは当面カラチ,ラホール,イスラマバードに限定されているがほかの諸都市にも順次拡大される予定である。