放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英BBC,五輪中継で視聴占有率アップ

イギリスの全国紙MediaGuardianのオンライン版は8月20日,北京五輪中継を行ったBBC ONEの1日平均視聴シェア(8/11~ 8/17の期間)が27.7% を記録したと伝えた。イギリス国内の地上放送による五輪中継はBBCしか行っておらず,BBCは午前1時から12時間以上の生放送と午後7時から1時間のハイライト放送を行った。この結果,午前から日中にかけてのテレビ視聴の占有率が高く,好結果を得ることができた。これに対し,ITV1やチャンネル4などライバル商業テレビ局は軒並み視聴者数を減少させた。

英BBC iPlayer,シリーズ・スタッキング開始へ

イギリスの公共放送BBCは8月23日,キャッチアップ・サービスのiPlayerで,ドラマ番組のシリーズ・スタッキングを9月13日から開始すると発表した。シリーズ・スタッキングは,シリーズ・ドラマについて最大13話まで,見逃した番組を初回にさかのぼってアクセスできるサービス。当面はストリーミングで提供されるが,BBCはいずれダウンロードも可能にしたいと考えている。

仏,受信料の不払い率が1.25%に激減

受信料の不払い率がフランスでは1999年の推定10.9%から2005年は1.25%(25万世帯以下)に低下した。議会下院の要請による会計検査院の報告書が8月半ばに議会のサイトで公表され,2005年の受信料制度改革の結果が明らかになったもの。受信料が住居税との一括徴収になったため,住居税と同様世帯単位の課税となり,不払いの温床だったセカンドハウスが課税対象から除外されたこと,住居税の免除世帯が新たに受信料も免除となったことが主な要因。またテレビを所有しない世帯は,春の所得申告の際にその旨を申告することになったが,虚偽の申告には心理的な抑制効果が働き,税務署の調査対象も申告した世帯に限定されるという効果も生じた。会計検査院では新たな報告書を準備している。

独,ブンデスリーガ全試合生中継のネットラジオが開始

Regiocast Digital社は8月13日, サッカー・ブンデスリーガ専門のインターネットラジオ“90elf”を開始した。90elfは,ブンデスリーガ1部・2部の全試合を音声で生中継するほか,関連情報,娯楽コンテンツなどを,画像,動画,文章,ポッドキャストを組みあわせたマルチメディアサービスとして提供する。視聴は無料で,広告を財源とする。Regiocast Digitalは2007年11月に,ブンデスリーガを運営するドイツサッカーリーグ(DFL)から,インターネット,DVB-H,DMBによる音声中継用の放送権を獲得。8月29日からはベルリン・ブランデンブルク両州でDVB-T方式による地上デジタルラジオ放送も開始した。

伊・セリエAハイライト放送権,RAIが直前に獲得

プロサッカーリーグ,セリエA,Bの運営統括を行うLega Calcioは,7月末に2008/2009および2009/2010の2シーズンについて,無料ハイライト放送権等の販売を最低7,000万ユーロから入札で行 うと発表した。しかし高額な権料のため入札者が集まらず,公共放送RAI,民放各社との個別交渉に持ち込むも難航し,セリエA開幕前日の8月29日にようやく大枠で合意した。結局,今季からの2シー ズンは,13:30~22:30までの速報ハイライト権を公共放送RAIが独占し,22:30以降の時間帯はRAIと民放Mediaset,Sport Italiaの3社が獲得することなどで決着した。RAIはこのほか,ラジオの独占生中継権やセリエBのハイライト権も獲得し,RAIがLegaに支払う額は,今季が約2,750万ユーロ,翌2009/2010シーズンが約2,800万ユーロとなった。

デジタルアーカイブ「ヨーロピアーナ」11月に試行

ヨーロッパ連合(EU)の欧州委員会は8月11日,デジタルアーカイブ「ヨーロピアーナ」の試行を,2008年11月より開始すると発表した。「ヨーロピアーナ」は,EUの加盟各国の図書館・美術館等の収蔵品(書籍,絵画,写本,音源,映像など)に,個人がインターネットでアクセスできるよう,共通のポータルサイトを設ける構想。文化財のデジタル化を推進する目的で,同委員会は,2009年からの2年間で合計1億1,900万ユーロを拠出する予定である。