放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英Ofcom,アナログ放送中止後の周波数料金を提案

イギリスの放送と通信分野を規制するOfcom(Office of Communications)は7月27日,地上アナログ放送が中止される2012年以後の,テレビとラジオ放送に使用されている周波数の年間使用料金導入案について,意見の募集を開始し,10月27日に締め切る。地上放送はこれまで1GHz帯以下の最大の利用者だが,固定電話や携帯電話の事業者が支払ってきた料金(AIP)を適用されていない。BBC は,受信許可料値上げの申請の中で,BBCに課せられるAIPを10年間で3億ポンド(約630億円)と見込んでいる。

仏地上デジタル放送でローカルテレビの免許公募

地上デジタル放送の全国放送が開始されて1年余を経たフランスで,ローカルテレビの免許公募が開始された。規制機関のCSAが7月25日に決定したもので,応募は10月16日に締め切られる。免許交付は2007年3月,放送開始は10月を予定している。公募の対象は4チャンネルで,放送エリアはパリを中心とするイル・ド・フランス地方である。アナログによるローカルテレビは近年増加し,3年前の6チャンネルから現在は18チャンネルに達しているが,デジタルによる免許公募が行われるのは今回が初めてとなる。

独ZDF,W杯ドイツ大会中継で歴代1位の視聴率

ドイツの公共放送ZDFは7月4日,ワールドカップサッカー・ドイツ大会の準決勝,イタリア対ドイツの試合をテレビ放送し,平均視聴率84.1%を記録,ドイツ国内の歴代最高視聴率を更新した。視聴世帯は約2,966万。瞬間最高視聴率は,試合が延長戦に入ってからの91.2%。このほかに,パブリックビューイングなど,自宅以外の場所で約1,600万人が視聴した。また,ZDFによると,今大会のテレビ中継では,ドイツ国内の視聴者の男女比において,女性が男性を上回った。

欧州委,ドイツ2州の地上デジタル放送補助金を調査へ

欧州委員会は7月20日,ドイツのノルトライン・ヴェストファーレン州とバイエルン州のメディア監督機関が地上デジタル放送の送信費用として商業放送に交付した補助金について,伝送路間の競争を歪めている恐れがあるとして,正式な調査を開始した。両州の都市部では地上デジタル放送の開始にあたり,商業放送の地上デジタル放送への参加を確保するため,それぞれ5年間で680万ユーロ(約9億9,300万円),4 年間で240万ユーロ(約3億5,000万円)の補助金交付が決定していた。欧州委は2005年11月,ベルリンとブランデンブルクの両州で実施された同様の地上デジタル放送補助金について,EC 条約違反との判断を下し,商業放送に対し補助金を返還するよう求めている。

オーストリア,地上デジタルテレビのSTB助成詳細決定

オーストリアの放送・通信規制機関RTR-GmbH は6月27日,地上デジタル放送のセットトップボックス(STB)購入のための助成金の詳細を発表した。これによると,すべての受信料免除世帯のほか,早期購入の10万世帯まで,40ユーロ(約5,800円)の助成を受けることができる。ただし助成の対象となるSTB は,双方向機能(MHP)のついたもののみ。この助成は,オーストリアが2004年に設けた放送デジタル化基金の一部で,2005年3月に欧州委員会に承認されている。オーストリアの地上デジタル放送は,当初の予定より1か月遅れ,10月26日に開始する。

伊・サッカースキャンダル,放送権で各事業者に明暗

7月,史上最大のスキャンダルとなったサッカー不正問題に処分が下り,各リーグの生放送権を持つ事業者の明暗を分けた。経済的に影響を与えるのは権料が最も高いJuventusが二部リーグ・セリエBへの降格処分を受けたこと。セリエAの人気クラブの生放送権を持つ民放最大手Mediasetは,昨シーズンから地上デジタルのPPVで生中継を提供しているが,9月に開幕する今シーズンから2季分の契約済み権料を,伊プロサッカー連盟LegaCalcioを通じて割引交渉する考えを示した。一方,昨シーズン安価でセリエBの放送権を購入した公共放送 RAIやスポーツ専門チャンネルSport ItaliaなどはセリエBの視聴者増が見込まれることから,新シーズンに向けた各事業者の戦略が注目される。