放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米市民,FCCの番組検閲に反対の声

アメリカのメディア監視団体のTV ウォッチが3月29日発表した調査結果によると,米連邦通信委員会(FCC)の「下品な表現」に対する規制など,政府による番組内容の検閲姿勢に対して,一般市民の多くが反発していることが分かった。同調査によると,「何が適切な番組かどうかは政府が決めるべきだ」と回答した人は12% で,「テレビ番組の内容は,自分たちでコントロールすべきだ」という回答が76% であった。また,この調査では,64% の人が「衛星放送やインターネットでは規制なしに番組が氾濫している一方で,地上波だけに罰金を科すのは間違っている」と回答しているほか,暴力表現や性表現を遮断するための「V チップや番組格付け制度などを活用すれば,番組視聴のコントロールは,家庭内で行うことができる」との回答が87% となっている。

米CBS,メインニュースに女性キャスター起用

米CBS は4月5日,夜の看板ニュース番組『イブニングニュース』のキャスターに,ケイティー・クーリック氏を単独で起用すると発表した。同番組は,かつてウォルター・クロンカイト氏やダン・ラザー氏など有名キャスターがアンカーを務めた番組。女性が夜のニュース番組キャスターを単独で務めるのはネットワーク史上初めてである。クーリック氏は,これまで15年間にわたり,ライバル局のNBC で朝の人気情報番組『トゥデイ』のキャスターを務めてきた。同氏は『60 ミニッツ』にも出演予定で,デビューは新シーズンが始まる9月が予定されている。

米MSNBC,携帯電話向けニュース配信へ

ニュース専門チャンネルのMSNBC は4月5日,携帯電話などのモバイル端末向けに,同社のニュース番組を無料配信すると発表した。モバイルで視聴できるコンテンツのほとんどが有料であるなかで,広告収入にもとづく無料サービスは異海外の動き例で注目を集めている。利用者はMSNBC の専用サイトにアクセスし,コンテンツをダウンロードしたうえで,ニュース映像や記事,写真などを見ることができる。番組には10~15秒の動画広告が挿入され,サイトにはバナー広告が掲載される。同社のキャサリン・キャプテン上級副社長は,「世界で最も成功しているニュースサイトのひとつに,利用者がどこからでもアクセスできるようにすることは非常に重要である」としている。

「BBCワールド」,米ケーブルTVで24時間配信へ

BBC の国際ニュースチャンネル「BBC ワールド」は4月10日,米ケーブルテレビ大手のケーブルビジョンと配信契約を結んだ。これにより,ケーブルビジョンのニューヨークエリアのデジタルサービス契約者向けに「BBCワールド・ニュース」という名称で,4月下旬から24時間配信が行われることになった。これまでアメリカでは,公共放送のPBS が「BBC ワールド」の一部を放送していたが,24時間での配信は行われていなかった。BBC グローバルニュースのリチャード・サンブルック局長は「我々の調査によるとアメリカでの国際ニュースのニーズは増大しているが,国内の放送では国際ニュースの扱いが少なくなっている」との認識を示し,サービス拡大に意欲を見せている。

米ABC,プライムタイム番組を無料配信へ

米ABC テレビは4月10日,プライムタイムの人気番組をインターネットに無料配信すると発表した。ネットワーク番組の本格的な無料配信は初めてである。同サービスは,人気ドラマシリーズの『デスパレートな妻たち』や『ロスト』『エイリアス』などの番組を地上波の放送の翌日から配信するもので,5月1日から2 か月間の実験を行ってビジネスモデルを決めるとしている。利用者はビデオ録画した番組のように,再生,停止,巻き戻しなどが自由にできるが,番組の冒頭や途中に挿入されるコマーシャルはスキップすることができない仕組みになっている。ネットワーク各社は,番組のネット配信を新たな収益源として期待しており,他社にも追随の動きが出ると見られる。