放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

中国,テレビドラマやニュースの規制強化へ

中国の放送行政を管轄する国家ラジオ映画テレビ総局(SARFT)は4月10日,テレビの歴史ドラマについて,政治・軍事・宗教などが主要なテーマもしくは重要な要素となるものは審査を受けなければならず,検閲者の意図に著しく反したものは放送許可を与えられないとする規制強化策を発表。翌日,各地方の行政当局に対し,放送台本の事前審査徹底のため毎月報告書を提出するよう通達した。また SARFTは各地方放送局に対し,国際ニュースの報道は,中国中央テレビ(CCTV)又は中国国際ラジオ(CRI)から提供される素材を使うこととし,外国の報道機関から直接提供を受けることがないよう警告した。中国では放送局間の競争激化の中で,上海など一部の大都市ではロイターやAPなど海外メディアの素材を直接使用するケースが出てきており,SARFTはこうした傾向を懸念して規制強化を図ったものと見られている。

香港の公共放送RTHK,監査委員会から批判受ける

香港特別行政区政府の監査委員会は4月26日,政府予算で運営している公共放送のRTHKが予算の使い過ぎなど経営管理に不適切な点があると批判する報告書を発表した。報告書によると,RTHKの2003年以降の番組は,その36%から54%が予算をオーバーしていた他,2004年から2005年にかけて 110万香港ドル(約1,650万円)の超過勤務手当てがあり,この中には運転手が午前5時半に朝刊を買いにいくための手当てもあったなどとしている。そしてRTHKはこうした批判にどう答えるのか,3か月以内に政府に説明するよう求められている。これについて政府当局者は「政府の規則を守っているかどうかの問題で,言論の自由への介入ではない」と説明している。またRTHKの労働組合は,報告書を原則として歓迎する一方,「もし規則を100%守っていたら,報道の質が影響を受けるだろう」との懸念も示した。

韓国,移動体向けのDMBで地上波が優勢に

4月10日,首都圏の6事業者からなる地上波DMB(デジタル・マルチメディア放送)特別委員会が明らかにしたところによると,昨年12月に本放送を開始した地上波DMB(無料サービス)の利用者数が,昨年5月に本放送を開始した先発の衛星DMB(有料サービス)の加入者数を追い越した。同特別委員会によると,地上波DMB 視聴用の端末機販売台数は,3月末に衛星DMB 加入者数より約8,000多い約50万6,000台となった。地上波DMB のサービスには,衛星DMB の事業者TUメディアの親会社で移動体通信最大手のSKテレコムが参加していないが,まもなく地上波DMB 視聴兼用の携帯端末機販売に踏み切ると見られており,地上波DMB の利用者増は更に加速しそうだ。

韓国,京仁放送が社名をラジオ仁川に変更

2004年,放送委員会から地上テレビ放送免許の再許可推薦を受けることが出来ず,同年末日にテレビ放送(iTV)を停止しFM ラジオ放送(iFM)のみ実施してきた京仁放送が,4月3日,社名をラジオ仁川に変更しラジオ専門局として再出発した。チャンネル名もSUNNY-FM に変わった。iTV に代わる京畿道南部と仁川を放送範囲とする新たな地上テレビ局について,放送委員会は今年1月,第1次公募で応募した5 つの事業者は全て基準点を充たしていないとし許可推薦を見送っている。

インド放送協会,DTHでチャンネル配信に課金

国営テレビDoordarshan(DD)と国営ラジオAll India Radio を統括するインド放送協会は,4月5日,DTH(直接受信)の衛星放送プラットフォームDD Direct+ で配信している商業チャンネルに対し,今年5月から年額1,000万ルピー(約2,700万円)の配信料を支払うよう求めた。商業チャンネル側からは強い不満の声が挙がっている。DD Direct+ はインドで2番目の直接受信衛星放送プラットフォームで,2004年12月,無料放送サービスを開始,テレビは今年4月末現在でDD の19チャンネル,商業放送14チャンネルを配信している。視聴世帯の大幅増を背景に,同プラットフォームでの配信を希望する内外のチャンネルが増えており,インド放送協会は,5月から配信チャンネルを新たに18追加し51 にするとしている。