放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

05.05.01インド,マードック氏の DTH事業参入を承認

インド情報放送省は,5月17日,ルパート・マードック氏傘下のスターが大財閥タタと組んで提出していた,デジタル衛星放送Space TVの事業許可申請を承認する書状(LoI)を送付した。これにより,マードック氏によるインドの直接受信(DTH)衛星放送市場参入は実現に向け大きく踏み出した。

05.05.01韓国,衛星 DMBの有料化始まる

韓国のTUメディアは,5月1日,専用衛星を通じ携帯電話機や車載型端末などの移動体向けに,映像や音声,データを配信する衛星DMBの本サービスを開始したが,6月1日,予定していた1か月の無料期間を終え,同サービスの有料化を実施した。加入料は2万ウォン,視聴料は月額1万3千ウォン。有料化にあたりTUメディアは,映像1チャンネル,音声4チャンネルを追加し,提供チャンネル数を映像8チャンネル,音声24チャンネルに拡大した。またTUメディアは,米野球メジャーリーグの中継権を獲得,6月中旬から衛星DMBで放送するとしている。5月30日現在,衛星 DMBの加入件数は約4万2千となっている。

05.05.01中国初のIPTV,上海メディアグループが開始へ

上海テレビや上海東方テレビなどでつくる上海文広ラジオ映画テレビ集団(SMG)は,6月末から中国では初のインターネット方式テレビ(IPTV)のサービスを始めることを明らかにした。IPTVは高速インターネットに接続してテレビ放送を見られるもので,SMGではIPネットワークを通じてテレビ受像機や携帯電話で自前もしくは調達した番組ソフトを流せるようになる。IPTVサービスは現在,個別の通信事業者と放送事業者が協力して試験放送を行っているが,中国電信や中国網通などの通信事業者に対しては,国家ラジオ映画テレビ総局(SARFT)からの事業免許は下りていない。

05.05.01WHO年次総会,台湾の記者の取材を拒否

5月16日からジュネーブで開かれた世界保健機関(WHO)の年次総会は,2004年11月に国連本部が定めたメディアに対する取材許可証の発行に関する特別規定に基づいて,台湾の記者の取材を拒否した。この規定は台湾のWHO加盟に反対している中国政府の主張を受け入れて作られたもので,取材許可証を発行するには,「国連総会が承認する国家のパスポートを提示しなければならない」と定めている。これに対して台湾のメディア団体である台湾新聞記者協会が強く抗議した他,国際ジャーナリスト連盟(IFJ)や「国境を越える記者団」なども国連に対し報道の自由を守るよう求める声明を発表した。

05.05.01タイ,コミュニティー・ラジオ局の調査始まる

タイでは,コミュニティー・ラジオ局の電波が他のラジオ局の電波や航空機の無線連絡と干渉しあっているとして,通信行政を統括するNTC (National Telecommunication Commission,国家電気通信委員会)が,5月下旬から各コミュニティー・ラジオ局の電波出力の調査を行うことになった。PRD(総理府広報局)が定めた制限(送信アンテナの高さは30メートルまで,送信機は30ワットまで,放送を送信できる範囲は半径15キロ以内)の中で放送が行われているかどうかを確認する。 コミュニティー・ラジオ局の中には,今回の調査の目的は,政府に批判的な放送を行っているラジオ局を取り締まることにあるとして,反発を強めているところもある。

05.05.01豪の地上アナログ停波計画,大幅遅延の可能性

オーストラリアのヘレン・クーナン連邦通信相は,デジタル放送受信機器普及の伸び悩みに関連して,現行法による2008年末のアナログ停波とデジタル全面切り換えを,2010年代半ばに遅らせる可能性を示唆した。5月29日の豪紙サンデー・メールが伝えた。同相は,全国800万世帯のうち50万世帯にしかデジタル受信機が普及していない現状では,08年のアナログ停波は現実的でないとし,移行計画の大幅な遅れを認めた。同国のデジタル受信機台数は,このところ月平均4万台と着実に増加しているが,最初の3年間の停滞が大きく響き,このままでは,切り換え時に約半数の世帯でテレビ視聴ができなくなるとの指摘がある。