ページの本文へ

  1. トップページ
  2. 記者記事
  3. 大雨から1か月・米どころつがる市の被害

大雨から1か月・米どころつがる市の被害

執筆者佐藤裕太(記者)
2022年09月07日 (水)

大雨から1か月・米どころつがる市の被害

県内各地で浸水や農業被害などが相次いだ先月の大雨。被害の大きかった自治体や産業の1か月たった今をシリーズで伝えていきます。
3日目はわたし、青森放送局の佐藤が、県内随一の米どころ、つがる市からコメの被害について伝えます。

作付面積1割以上が被害

水田

岩木山を背に車を走らせると、今月下旬からの収穫を目前に控えた黄金色の稲穂が一面に広がっています。

浸水した水田

しかし、そこからほど近い地域では、浸水したため茶色がかった稲穂が広がっています。
8月末の時点で市がまとめたところ、コメの作付面積およそ8400ヘクタールのうち、1割以上にあたる1000ヘクタールあまりに被害が出ています。

水没した稲穂は・・完全に空

大山さん

被害を受けたコメ農家、大山昭雄さんです。
先月10日、近くの田光沼の堤防が決壊して水があふれ、周辺の水田が水没。
大山さんの水田も3分の1ほどが被害にあい、稲穂はすでにこのとき、傷んで変色していました。
およそ1か月がたつなか、イネの状況を改めて大山さんに伺うと…。

大山昭雄さん
一見何も変わらないようだけどほとんど入っていない。完全に空。いいように見えても色が死んでいる、黄金色にはならないよ。

稲の中身

水没した稲穂は変色したまま、もみの中のコメはほとんど実っていません。水没した影響で受粉がうまくいかなかったことが原因とみられます。
ことしの収穫量と品質の低下は避けられないと大山さんは覚悟しています。

大山昭雄さん
水が出たときちょうど『花盛り』だった。量があっても品質が悪かったら売り物にならない。3割ぐらい実がなっても売り物になるかどうか。かなり減収になるのは間違いない。

かなり減収覚悟 それでも生産続けたい

大山さん

今月下旬からイネの刈り取りが始まります。被害の全容はまだわからず、最終的にどれくらい収穫できるのか不透明です。大山さんは、体力の続く限りはコメの生産を続けたいと、前を向きます。

大山昭雄さん
いつも来年こそは来年こそはと思っても、なかなかそのとおりいかない。普通に一生懸命やるしかない。来年どんな雨降るかわからないし、なるようになるしかならない。一生懸命やるだけ。

青森放送局の佐藤裕太記者に聞く

Q.困難な状況にある農家の人たちが生産を続けていくためにいま何が必要でしょうか?

佐藤裕太記者
必要なのは「農家が生産意欲を失わない支援」です。この1か月、農業関係者の取材を続ける中で、たびたび耳にした言葉です。農家の高齢化が進んで後継者もいない中、流れ込んだ土砂をかき出すなど、復旧作業は大きな負担になっています。意欲が失われてしまえば来年以降の生産を断念する農家が 相次ぐおそれもあります。

Q.そのための具体的な対策は何があるのでしょうか?

佐藤裕太記者
つがる市では、被害を受けた農家が新たに種を購入したり、農薬をまいたりする費用に一定額の支援金を支給することをいち早く決めました。

支援
しかし、ここ数年は、これまで経験したことのない大雨災害が県内でも相次いでいて、来年以降も発生するおそれがあります。応急的な支援にとどまらず、地域の農業を守るために何ができるか、長期的な視点で考える必要があると思います。

この記事に関連するタグ

おすすめの記事