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“災害ボランティア”に行きたいけど・・・

  • 2024年01月26日

 

能登半島地震から間もなく1か月。被災地のために何かしたいと“ボランティア”に行くことを考えている人もいるかもしれません。

しかし、石川県では被害の大きかった輪島市や珠洲市ではまだボランティアの受け入れができていません。

珠洲市で「災害ボランティアセンター」の立ち上げに関わっている男性に、被災地の現状や受け入れに向けた動きについて聞きました。

遅れる“復旧”

 

県の防災アドバイザーで、山形市を拠点に防災の取り組みや被災地の支援を行っている千川原公彦さんです。

東日本大震災や新潟県中越地震など、全国各地の災害現場で避難所の運営をサポートしたり、災害ボランティアセンターの立ち上げ支援を行ってきました。

津波の被害があった地域の様子(珠洲市内)

千川原さんは、今回の地震のあと、珠洲市の社会福祉協議会などからの要請を受けて1月5日から2週間近く珠洲市で活動。ボランティアの受け入れなどを行う「災害ボランティアセンター」の立ち上げに関わり、避難所を回って支援物資を届けたり、被災した人たちのニーズを把握したりしていました。

全国各地の災害現場を見てきた千川原さんに、地震発生から2週間のタイミングで現地の復旧状況を聞きました。

千川原公彦さん
通常であれば発災してから2週間くらいたっていれば、ライフラインが少しずつ復旧し始めて
各家庭で少しずつ生活が取り戻せるようなタイミングだが、通常の災害の3分の1くらい遅い
スピードできているのかなという印象があります。

“悪路”が復旧阻む

 

復旧が思うように進んでいないことの1つに、道路の損壊が激しく重機や資材の搬入が困難なことが背景にあると言います。

千川原公彦さん
道が数100か所かなり損壊受けているという話があって、日々、復旧工事は進んでいますが
そこに住民の皆さんや緊急車両が集中して、大渋滞になってしまうんです。それで物資や重機の搬入に時間がかかってしまい、復旧工事の遅れにつながっていると思う。

こうした道路の損壊で、東日本大震災より深刻だと千川原さんが感じていることがあります。

それが“被災者が移動できない”ということです。

千川原公彦さん
東日本大震災の被害も大変深刻だったが、車を2時間くらい走らせれば被害の少ない地域に行くことができて多少なりとも、食べ物・水・トイレ・ガソリンが確保できる環境でした。

しかし、今回は私がいる珠洲市からライフラインが整っている金沢市まで、通常片道3時間なのが8時間くらいかかってしまうので、すぐに衣食住を確保できないのが大きな違いです。

支援する職員が被災

さらに、自治体の職員たちも被災していて、マンパワーが足りていないことも課題だと言います。

千川原公彦さん
自治体や社会福祉協議会の職員さんは基本的に全員被災しています。職員の中には、津波で自宅が流されてしまったり、車がなかったりする人も結構いて。車がある方は車中泊をしながら支援に関わっていたり、避難所から通ったりしている人もいるので、マンパワー的にはきつい状況になっています。

珠洲市内では避難所ひとつとっても70か所以上あって、自治体職員では圧倒的に足りないので
住民の皆さんで運営されているところもあって、中には“もう疲れきってしまった” “掃除も何もできない”という声も聞こえてきています。

災害ボランティアの受け入れは?

こうしたなか、欠かせないのがボランティアの存在です。

石川県はボランティアを希望する人にホームページ上で事前の登録を呼びかけています。
1月27日の午後2時時点で、県内外からおよそ1万5300人(県内4100人/県外1万1200人)が登録しています。

ボランティアが事前登録できる石川県のホームページ

1月27日から七尾市・穴水町・志賀町で事前に登録している人に限り、県内外からボランティアの受け入れが始まりました。また、ほかの自治体では市内や町内に住んでいる人や勤務している人などを対象にボランティアの受け入れを行っているところもあります。

一方、被害の大きかった輪島市と珠洲市では県内・県外ともにボランティアの受け入れは始まっていません。珠洲市で活動する千川原さんは、ボランティアを受け入れる環境や態勢が整っていないためだと説明しています。

千川原公彦さん
カラーコーンがない道や雪で地割れが隠れてしまっているようなポイントも結構あるので、せっかく支援に来られた方が道路の溝にはまって事故になったりとか、トイレが使えないエリアがまだたくさんあるので、用を足すことができなくて体調を崩してしまったり、そんなことになってほしくない。

また、余震や大雪の影響で二次災害が起こるリスクも考えられます。さらに、ボランティアセンターを運営するには40~50人くらいスタッフが必要なのですが、その人員を確保するめどもたっておらず、必要な資材は集まりにくい状況です。ある程度、受け入れる環境・態勢が整ってからボランティアに来てもらいたいと現場では話し合っているところです。

ボランティアに注意してほしいこと

最後に、ボランティアとして活動する人に気をつけてほしいことについて、千川原さんに聞きました。
まず「宿泊先や食料品などは自分で確保すること」
そして次に「単独ではなく複数人で被災地に入ってほしい」ということです。

被災地に入る車の台数を減らして渋滞につながらないようにすることや、被災地の現状を目の当たりにして気分が落ち込んだときにお互いに感じたことを話すことで心のケアにつなげるためだとしています。

“ボランティアを受け入れたくても、受け入れられない”。

ボランティアの取材を通して石川県の被災地はそれだけ厳しい状況に置かれていると実感しました。ただ、現地の状況は刻々と変化しています。ボランティアを希望する方は、どこでどのようなボランティアを必要としているのか、被災地のホームページを見ながら、準備を進めていただけたらと思います。

  • 風間郁乃

    山形局 記者

    風間郁乃

    主に福祉・子ども分野を担当 3児の母
    皆さんの生活に役立つ情報をお届けしたいと思います。

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