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【みえDE川柳】 お題「支える」

  • 2024年04月26日

4月26日(金)放送の「みえDE川柳」お題「支える」。

326句の投稿がありました。たくさんの投稿ありがとうございました。
トップ3天地人と講評、入選句です。選者は橋倉久美子さん。

今月の【天・地・人】

 

お隣の樹木支えるうちの塀/アカエタカ さん

 

お隣の樹木は斜めに生えているのか?それとも老木で倒れかけているのか?はたまた塀の上に大きな枝が載っているのか?と、あれこれ情景を想像して笑ってしまった。

いずれにせよ、「お隣の樹木」と「うちの塀」という対比的な言葉を「支える」で結んだだけなのに、迷惑そうな雰囲気が出ていておもしろい。塀の内側に実でも落としてくれれば、支えたかいもあるのだけれど。
「樹木」は「何の木だろう」と想像を誘う反面、少し硬い言葉なので、「お隣の桜支える」とか「お隣の柿を支える」と、具体的にしてもよかったかもしれない。 

 

支えると言った夫がまたこける/戴けいこ さん

 

「またこける」に、思わず笑ってしまった。「こける」という俗っぽい言葉も生きているし、「また」からは作者の「やれやれ」というため息まで聞こえそうだ。
それにしても「夫」はいったいどんな場面で「支える」と言ったのだろう。一番ありそうなのは、「僕が一生あなたを支えます」などと、格好をつけたプロポーズの言葉を口にする場面。もしそうだとすると、「またこける」には夫婦の長い歴史が感じられるようで、味わいがある。
 

 

いい加減支柱が欲しい豆の蔓/ゆきち さん

 

「豆の蔓」は支えを求めて伸びていく。「この先を考えている豆のつる」という、吉川雉子郎(英治)の有名な句もある。
ところがこの句の「豆の蔓」は、ずいぶん大きく育ってきたのに支柱を立ててもらえないらしい。しかも「いい加減」支柱が欲しいというのだから、かなり腹に据えかねているようである。種を蒔いたからには責任をもって育てろと、豆の蔓が説教を垂れているようで、何だかおかしい。

【入選】

裏金で支えられてたお偉方       /巌窟王 さん
国連が支えきれなくなる平和      /火の鳥 さん
支柱に絡むエンドウ豆のフラダンス  /あそか さん
推し活が老後の支えうちわ持つ     /ばばりん さん
雨傘を杖の代わりに散歩道       /だんでらいおん さん
抜いた歯と支え合ってた隣の歯     /老人生 さん
千鳥足 支え合うより もたれ合い      /山吹みどり さん
補助輪のような友だちいてくれる     /みえみえみえちゃん さん
補助輪を外し子供が空を舞う      /漢方十七錠 さん
「どっこいしょ」声を支えに立ち上がる/ムギ さん

 

 

 

326句のご投句をいただきました。
「支える」という題は少し作りにくかったのか、いつもの月よりやや少なめの投句数でしたが、発想がバラエティに富んでおり楽しく選をしました。ただ、題のせいか教訓めいた句も少しありました。「よいこと」を詠むのはかまいませんが、川柳は標語ではありませんから、説教じみないように気をつけてほしいと思います。
また、中八・下六の句がありましたが、これらは句のリズムを重くしてしまいます。別の言葉を探したり言葉の順序を入れ替えたりして悩むのも、川柳を作る楽しみです。推敲の手間を惜しまず、軽やかに仕上げてください。
 

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