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自分の声で伝えたい!

場面かん黙 2023
  • 2023年09月15日

「場面かん黙」ということばをご存じでしょうか。

自宅で家族などとは会話できるのに、学校など社会生活の場では、話すことができなくなるものです。小学生など子どもによく見られる症状で、日本ではおよそ500人に1人の割合でいると言われています。この“場面かん黙”、適切に対処しないと、引きこもりやうつなど二次的な問題につながることもあります。

ニュース富山人では、8年前から、この症状に悩みながらも向き合い続けている加藤諄也(しゅんや)さんを取材してきました。加藤さんのこれまでの歩みを振り返りつつ、この夏、勇気を持って取り組んだ大きな挑戦についてお伝えします。

 

【2023年9月13日放送】

 

取材を終えて・・・ 

加藤さんは、達成感を得る経験を少しずつ積み重ねていく中で、徐々に自信をつけ、大勢の人たちの前で声を出し、メッセージを伝えることができました。

大人になって重い症状を抱えていても、時間をかけて適切に取り組んでいった結果、少しずつ話せるようになってきた加藤さんの姿は、実際に苦しんでいる多くの人たちにとって、確かな希望になるのではないでしょうか。

ただ現在、場面かん黙に向き合っている当事者は、本人が望んでいない場合には、必ずしも無理をして話せるようになる必要はないと言います。

周囲の人は、決して声を出すよう強いるのではなく、一人ひとりの症状をきちんと理解して適切に接することで、彼らが少しでも生きやすくなるよう、支えていって欲しいと思います。

 

8年前、ひと言もことばを発することができず、呼びかけに対してうなづくことすらできなかった加藤さんが、大勢の人たちの前で声を出して、自分の思いをはっきりと伝えていました。そんな場面に立ち会うことができ、まさに取材者みょうりと言いますか、本当に心の底から湧き上がってくる感動を味わわせていただきました(とは言え、撮影に忙しくて、その感動にゆっくり浸ってはいられなかったですけど・・・)。

加藤さんの姿を見て“自分の努力次第で人間変わることができるんだ”と、単純に勇気をもらうとともに、“まだまだ私自身も頑張らなくちゃなー”と、しみじみ思いました。

 

【参考】加藤さんが副代表を務める『場面緘黙を考える会 富山』では、定期的に家族や当事者、支援者らが集まり交流会を開いています。興味がある方は、facebookX(旧ツイッター)のページを、ご覧ください。

 

  • 牧野雅光

    NHK富山局

    牧野雅光

    愛知県出身。富山に来て、10年目になります。
    多様な人々が少しでも暮らしやすい社会になるよう、微力ですが情報発信に努めていきます。

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