【専門家が解説!運動法も】幼児が運動したほうがいい理由
- 2024年01月29日
さむ~い季節。ついついこたつで丸くなって体を動かさない…なんて日もあるかもしれませんが、小さな子どもはいろんな運動をしていたほうが、将来の運動習慣や体の使い方にいい影響があるんです!
徳島の運動事情
徳島は、全国で3番目に運動習慣がある人が多いというデータがあります。
この調査の対象は20~79歳の大人でした。
一方、子どもたちの運動時間は全国的に減少傾向が続いています。
小さいころから体を動かしたほうがいい理由
国の調査では
小学校入学前からさまざまな運動をしている子どもは、していない子どもに比べて運動する時間が長く、体力テストの成績もよかった
という結果が出ています。
(平成26年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果(文部科学省)より)
どんな運動をしたらいいのか?専門家に解説してもらいました。
徳島文理大学短期大学部の山越明准教授は、柔軟な体づくりのために、子どもたちは小さなころにいろいろな態勢をとるべきだと話します。
最近の子どもたちは、はいはいをする期間が短くなっています。
ひざを床につけないでおしりを高く上げて進む「高ばい」については、ほとんどの子がしないようです。
集合住宅やつかまれる物がすぐ近くにある環境で生活していると、子どもたちは壁や物を利用してつかまり立ちしやすい。
なので、足首・手首が硬い子どもが増えてきています。
しかし、手首・足首の柔軟性は、はいはいや高ばいを繰り返すことで培われます。
特に高ばいは、前に進むために足首と手首を何度も曲げ伸ばしします。
この動作を繰り返し行うと、だんだんと関節を柔らかく使えるようになってくるんです。
はいはいの時期が早くなっていることは悪いことではないのですが、
けがをしないために、手首・足首は柔らかいほうがいいということです。
手首・足首の柔軟性は、高いところから飛び降りるときに、着地がうまくいくかどうかに関わります。
もちろん最初はドーンッと尻もちをつくでしょうが、だんだんと体を手で支え、柔らかくひざのクッションを使えるようになる。
ひざを柔らかく使うためには足首が柔らかくなければいけません。
本当は、はいはいまでさかのぼることができたらいいのでしょうが、子どもたちが立ち上がってしまったのなら、楽しみながらいろいろな態勢をとる経験をするべきだと思います。
関節は、小さいころの体が柔らかいときに動く範囲を広げてあげないと硬いまま固まってしまいます。
だからこそ、親御さんは、関節の可動域を意識して遊ぶといいですよ!
幼児期の運動方法とポイント
徳島市内で行われた、歩き始めた1歳から2歳ごろまでの子どもの運動教室を訪ねました。
運動のポイントは『可動域を意識して関節をしっかり動かす』です。
①手遊び「なっとう」
手遊びうたで、リズミカルに腕を伸ばしたり回したりします。
日常生活では、特に室内にいると、肩から上に手をあげるということはほとんどありません。パズルをするにしても積み木をするにしても、手は下げていますよね。また、ひじは曲がったままです。
この手あそびうたは、肩から手を動かす、ひじを伸ばすという点で、いい運動ですね。
これ以外にも、子どもが興味をもったもの(ぬいぐるみやブロックなど)があれば、それを少し手を伸ばさないと取れない場所に置いてあげるだけでも可動域は変わります。いまはコンパクトに遊ぶ子が多いので、意識して広く遊ばせてみてください。
②ボール当てごっこ
柔らかいボールを的に当てる遊びです。
的には鈴がついていて、ボールが当たるとリンリンと音がします。
物を投げるということも、やはり日常生活ではしない動きになります。基本的には物は下に向かって置くものですからね。
ボール投げは、投げるときにボールからタイミングよく手を放すという動作や、体を後ろにそらすといった体の動かし方を経験することにつながります。
ボール以外では、太鼓をたたく時にばちを使うと手首のスナップを使いますね。
タイミングを知るために何度も繰り返し練習する中で、鈴のように音が鳴ると子どもにとってもわかりやすく、うれしいですね。
投げたあと散らばったボールは、子どもに拾ってもらうとしゃがむ→ボールを取る→立ち上がる→箱に入れる→ほかのボールを探す…という動作を連続で行うことになります。お片付けも覚えるのでいいですね。
子どもが意欲的に取り組めるように、できたときには「よくできたね!」と声掛けをしてほめてあげてください。
この体操教室で指導を行った子育てアドバイザーからは、家庭で運動するときのポイントも教えてもらいました。
家庭で運動をするときは、子どもがいま興味を持っていることに注目してください。
カーテンを引っ張るのが楽しそうなら「ひもを引っ張る遊び」を取り入れるなど、簡単に楽しく体の発達を促してもらいたいです。
運動は、まずは好きになることが上手になっていく秘訣です!
子どもはとても敏感。親が安心して楽しんでいることで、子どもも安心してその場を楽しめます。無理にやらせるのではなく、お父さんお母さんが運動を楽しんでいる姿を見せてあげるといいですよ。
そうすることで、『あ、あれは楽しいものなんだ』という認識で、子どもから動き出すかと思います。
子どもの挑戦を見守りつつ、気を付けること
子どもの動きをサポートするコツを教えてください
子どもに安心してもらうことが大切ですね。
転びそうになっている子どもを補助するときは、前から、あるいは横からにしてあげましょう。
支える親の手は軽く、子どもに持ってもらうように意識しましょう。
信頼しきっている親の顔が見えているだけで、子どもはリラックスできます。
動くのは子ども自身。親はあくまでサポートするだけです。
私の1歳の娘は歩き始めたばかりで、けがをしないかと気になってしまい、自由に歩かせることに少し不安があるのですが…
子どもはチャレンジャー。フラットなところよりも、ちょっとでこぼこしたところを歩きたがりますよね。縁石や白線の上を歩く、ちょっとした段に上がりたいなど、冒険が大好きです。
でも、そうした冒険の中でバランス感覚を養っています。大人にとっては何でもないあぜ道でも、子どもにとっては一歩踏み出すごとにバランスが変わるんです。
また、例えば縁石や白線の上を歩くということは、開いた足を閉じて歩くことになります。ひざがきちんと使えないとできない動きです。何度も繰り返して筋肉がついてくると、片足立ちの連続=歩行がスムーズにできるようになり、最終的には走ることができるようになる。
子どもにかかわる人は、子どものチャレンジ精神を認めてあげて、挑戦するゆとりを作ってあげると、できた喜びを共有できるようになると思います。
一方で、運動については注意も呼びかけています。
子どもたちが将来にわたってけが無く健康に生活していくためにも、体を動かす習慣をつけたいですね。
親子で楽しく♪
家庭でも、無理のない範囲で始めてみてください。