【専門家が解説】子どもに動画、影響は?
- 2023年06月13日
梅雨の時期、子どもと家にいると時間を持て余して、動画を見せること、ありませんか?街で聞いてみると、視力や発達に影響しないか気になる、とか、視聴時間を決めても守ってくれない、などの声が。こうした悩みについて、専門家に聞きました!
「子どもに動画見せていますか?」
子どもに動画、見せていますか?
街の人たちに聞いてみました!
見せています。NHKのいないいないばあっ!などの子ども向け番組の動画です。子どもは画面を食い入るように見つめています。
小学校3年生の娘は2~3歳から見るようになったけど、2歳の三女は1歳ぐらいから見ています。親と遊ぶのが一番いいだろうけど時間が取れません💦
子どもが動画を見るようになってから視力が下がって、眼科に通って治療しているんです。見る時間は1時間程度って決めて気を付けています。
動画を見せることで視力や発達に影響するのではという心配の声が聞かれた一方で、家事をする時間などを得られて助かっているという声も聞かれました。
実は私も、おむつ替えで子どもが暴れるときに、テレビで好きな音楽番組を見せることがあります。
「短い時間でいいので、おとなしくしていてほしい」…共感です。
また、子どもたちは、アイドルや歌手の音楽動画やゲームの実況動画が、学校で友だちとの話題になることもあるようでした。
目のために「30センチ」と「3つの20」
近視が進む原因の一つが、30センチ以内の近い距離のものを見る作業とされています。
スマホやタブレットは、目から30センチ以上離して見るようにしましょう。
また、アメリカ眼科学会では、「20-20-20」を推奨しています。
パソコンやスマホなどの画面を20分見たら20フィート(約6メートル)離れたものを20秒見る。これは大人も同じです。目をしっかり休ませましょう。
動画視聴は受け身になりがち
幼児期は、自発的に何かを発見したり作ったりする経験や、友だちなどとの会話が、心や知性の発達に重要な働きをするともいわれています。スマホやタブレットを「ひとり使い」していると、そのような機会が減ってマイナスに影響するかもしれません。
ルールを決めて守らせるには?
街の親子連れに聞いてみると、視聴時間のルールにまつわるお悩みが多く聞かれました。
これらのお悩みについて、どう対応したらいいか幼児教育がご専門の、鳴門教育大学大学院 木村直子准教授に教えてもらいました。
動画を切りよく終わらせる良い方法はありますか?
4歳の息子は電車が大好き。電車の動画をよく見せていますが、動画を終わらせようとすると怒って泣きます。興味をそらそうとアイスクリームを出すこともありますが、どうやって終わらせればいいでしょうか?
アイスクリームも選択肢のひとつかもしれません。たしかに冷たいのでクールダウンもできますし。でも、 虫歯とか食事の時間との兼ね合いで、いつも使える方法ではないかなと思います。
例えば、今見ていた動画に関連した何か楽しい遊びを提案するのはどうでしょう?
電車の動画が好きなら、その電車のオリジナルカードを作ったりだとか、 図鑑で調べて絵をうつして色を塗ったりだとか、図書館に調べに行ったりだとか、手や足や体を使った遊びにつなげてみるのがいいと思います。
片付けという意味では、おうちで空き箱などを用意して、その表紙に「おしまい」とか「×」ってつけて、その箱の中に物理的に片付けるのもいいですね。
それでも泣いちゃうときもあると思います。子どもに泣かれると「もう動画見せておこうかな」って気持ちが折れそうになるかもしれませんが、それでも、どんなに泣いたり怒ったりしても、決まった時間におしまいにします。あっさり「おしまい」にする。
あんまりにも「残念だね」「またこんどあるよ」とたくさん声掛けをすると、切り替えようとしていた気持ちが、「やっぱりまだ動画を見たい」という気持ちに引き戻されることがあります。 泣いたり怒ったり、どうしても見たい!ってぐずぐずしているときには、 いったん落ち着くまでそばで見守って、子どもが「ふう」と落ち着くタイミングを見計らって、「次のことをしようか」と声をかけるといいかなと思います。
ルールはどんなふうに作ればいいですか?
動画視聴に限らず何事も始める前にルールを決めておくことはとても大切です。
動画視聴は年齢とともに長くなっていくので、最初は短い時間から始めるのがいいです。
家庭で「視聴時間はどれくらいまでならいいかな」「我が家ではこうしようかな」とあらかじめ相談します。
ただ、先に「動画視聴は一日に1時間」というふうに決めてしまうと一見よさそうですが、帰宅してから夜寝るまでの時間を考えると、食事をしたりお風呂に入ったり宿題をしたりという、“しなければならない生活時間”を除くと、例えばもう1時間しかない、となるかもしれません。すると、家にいる1時間を全部動画視聴に充ててしまうことになりますね。
そうならないためにも、“しなければならない生活時間”のほかにどれだけ自由な時間があって、その中で動画視聴に何分充てるのかっていうことを考えて計画を立てるのが大事です。
また、「きのうはこれだけ見られたのに、きょうは同じ時間見てたら怒られた」というわかりにくいルールは、子どもが納得できないですよね。なので、ルールは子どもと一緒にはっきりしたものを作りましょう。
ルールを守れないときは「もう見せない」「機器を取り上げる」といった罰を与えたくなりますが、ルールが定着するまでには一定の時間がかかるので、大人はじっと待つことも必要です。子どもが気持ちを切り替える技術を学んでいるのと同じように、親は静かに待つという技術を一緒に学ぶのがいいでしょう。あまり神経質になり過ぎないで、長い目でみてくださいね。
今回、街でインタビューをさせてもらうと、多くの子どもたちが、家で動画についてのルールが決まっていても、「もっと見たい」と答えていました。
特に「自分と同じぐらいの年齢の子どもが、お店で大量におかしを買っている動画」のように、自分と年齢が近い子どもが、自分にはできないことを画面の向こう側でしてくれている動画が人気でした。
子どもたちにとって、楽しく夢のあるコンテンツということがわかりましたが、やはり、視力が悪くならないようにすることと、家族でコミュニケーションを取ることなど、大人がしっかり管理すべきことを知っておくことが大切だと感じました。