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徳島 吉野川市 「寝ても覚めても菊」82歳の男性 菊花展に臨む

  • 2023年11月08日

伝統ある菊花展に出品している82歳の男性。
40年前から作り始めて、「寝ても覚めても菊のことを考える」と菊に夢中の男性に密着しました。

この日は天気にも恵まれました

にぎわう恒例の菊花展

500点以上の菊が集まる展覧会「大菊人形・菊花展」が10月25日から吉野川市で始まっています。

大河ドラマ「どうする家康」をモチーフにした菊人形や、
地元の中学生や愛好家が育てたものなど、
さまざまな種類の菊を楽しむことができます。

直径20センチを超える花も

この会の歴史は古く、始まったのは98年前。
以来、地元で菊の愛好家が増え、花の出来栄えを競う品評会も開催されるようになりました。

菊に魅せられた男性

菊の前で笑顔の谷澤さん

この品評会で最優秀賞を、去年まで2年連続で受賞した人がいます。
谷澤秀夫(たにざわ・ひでお)さん、82歳菊作り40年の大ベテラン
1本の苗から100輪以上の花を咲かせる「千輪作り」と呼ばれる作品や。
高さが2メートル以上のキリンの親子などの作品で、来場者を楽しませています。
「お客さんの励みになるように、こっちも馬力かけて作っとんです。」

中でも谷澤さんが特に力を入れているのが、立菊十二鉢花壇(たちぎく・じゅうにはち・かだん)。
十二の鉢で育てた菊をひとまとまりに展示する作品です。

菊作りで一番難しいとされ、この作品で一番の評価を受けると、最優秀賞を受賞できます。
「これが一番。咲いたら鮮やかさが違う。」と谷澤さんは言います。

この作品では、一本の菊を3つに枝分けして、大きな花を咲かせます。
花は直径25センチを超えるかが評価のポイント。
そして、これを12鉢並べたときの全体のバランスも大事。
花の高さが横の列ごとにそろっているかが評価を分けます。 

横の高さがほぼ一定です

谷澤さんは毎年1年をかけて、この作品に臨んでいます。

道具作りも自分で 「寝ても覚めても菊ばかり」

そんな谷澤さんの作業場にお邪魔しました。

菊の美しさにひかれて40年。毎年100鉢以上を育てて工夫を重ねています。
そんな中で、大事な菊の高さを調節するための工夫が見られました。
菊の根本の茎を見るとS字に曲がっています。 

この曲げ具合で高さを調整しています。
この“曲げ”を作る秘密が、谷澤さん考案のオリジナルのこの道具。

プライヤーという道具と歯ブラシの柄で作りました。
茎を傷つけずに挟むことができ、思い通りに曲げられるそうです。

でも、力加減は初心者には難しそうです

この道具は3年前のある朝、歯磨きをしているときに、ふと思いつきました。
朝、目が覚めたら菊さわりよる。晩、寝よっても菊のことばっかり考えて。ボケ防止やね。ハハハ…
朝も夜も菊のことを考える毎日の中に訪れたひらめきでした。

奥深い菊の世界 その楽しさを多くの人に

谷澤さんの元には、菊作りを教わりに来る人もいます。

この日は、ことしから始めた女性が訪ねてきました。

「谷澤さんは分からないことを親切に教えてくれる」とのこと

谷澤さんは40年の経験で編み出した菊作りの技術を惜しみなく伝えています。
菊作りの楽しさを多くの人と共有したいと考えているからです。

11月6日に、ことしの菊の品評会の結果が発表されました。
谷澤さんは、見事、最優秀賞を獲得、3連覇を達成されました!

谷澤さんは、菊作りに終わりはないと言います。
「納得するような菊はなかなかできません。奥深くて、毎年1年生やな。体続く限り頑張る予定です。」

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