【ライフセーバー直伝!】服を着たまま水に落ちたら?
- 2023年07月11日
暑~い夏休み!海に川に遊びに行くことを楽しみにしている人も多いでしょうね。
でも、何気なく水に近づいて、服を着たまま落ちてしまう事故もあるんです。
万が一の時はどんな行動をとればいいのでしょうか?
徳島県内で発生!服を着たまま水に落ちた事故
2022年に徳島県内で発生した水の事故は10件。
このうち、「散歩中」や「釣り」など、服を着たまま水に落ちた事故は6件にのぼります。
水の事故は、堤防からの釣りや、川べり・用水路などの近くを歩いていて誤って落ちてしまうなど、海・川以外の身近な場所でも発生しているんです。
命を守る授業「着衣水泳」
阿南市立大野小学校のプールで「着衣水泳」が行われました。
万が一服を着たまま水に落ちても、自分の命を自分で守るための授業として取り入れられていて、コロナ禍だった2021年、2022年にも実施されました。
子どもたちに指導を行うのが、徳島県ライフセービング協会や徳島海上保安部のみなさん。
なかでも、今回中心になって指導を行った現役消防士ライフセーバーの國方識盟さんに、着衣水泳のポイントを教えてもらいました。
ポイント① ラッコのように浮く!背浮き
水に落ちたら、助けが来るまで体力を温存しておく必要があります。そのためにとる行動が「背浮き」です。
背浮きのポイント
・胸を張っておへそをだすようにしてあごを上げる
・空気をいっぱい吸って浮く
・怖がってあごをひくと沈んでいくので、しっかりと胸を張ることが重要
・声を出したり手を挙げたりしたくなるが、体のバランスが崩れるので絶対にしない
溺れて沈んでしまっていると、「救助」の前に「捜索」からスタートしなければならず、命を救えない可能性が高くなります。
そのため「背浮き」で体力を保ちながら浮いている必要がありますが、救助がくるまでの時間を考えると10分近くは浮いて待たなければいけません。
大野小学校の着衣水泳では、1・2年生は1分、3・4年生は3分、5・6年生は5分浮いていられるかテストをしていました。
浮き続けることはとても難しいことですが、子どもたちは、訓練を重ねると浮いていられる時間がどんどん長くなっていました。何度も挑戦する必要性を感じました。
ポイント② 頭を守れ!流れるときの足の向き
川や用水路など流れがある場所で水に落ちた場合、「背浮き」そしたらそのまま流されます。このとき、流れには逆らわず、足を流れる方向に向けます。
足を流れる方向に向ける意味
・頭から行くと障害物が見えない
・足から流れたら、障害物があってもキックしてさけられる
また、流れに逆らってはいけません。
プールをぐるぐる回って渦を作った子どもたちが、逆回転をしようとすると、体がズシンっと重くなりました。
泳ぎがうまい人でも流れに逆らおうとすると大きく体力を消耗し、浮き続けることが難しくなります。救助が来るまで体力を温存する行動をとりましょう。
ポイント③ 陸から行う救助の方法
溺れてしまった人の多くはパニックになります。すると、救助に来てくれた人につかまろうとしてしまい、救助に行った人も一緒に溺れてしまうことが多くあり、悲しい事故につながっています。
助けに行く人は陸から救助を試みてください。
陸から救助を行う
・溺れている人に声をかける
・溺れている人まで届く棒やロープなどを差し伸べる
・浮くものを投げ入れる
水に浮くものは身近にいろいろあります。
「身近な浮くもの」を知っていると、救助がすばやく行える可能性が高くなります。
水の怖さをよく知って、たとえ家族や友達が溺れていたとしても、ぐっとこらえて水に入らず、陸からできる救助を行いましょう。
水のレジャーを楽しむときはライフジャケットを
自分から進んで水のレジャーを楽しむときは、ライフジャケットの着用が重要です。万が一水に落ちても救助の確率が高まります。
子どもたちは、着衣水泳を学びましたが、経験したことが生きないのが一番です。万が一の時はきょう習ったことが生きてくれたらと思います。
また、監視員がいる場所で遊ぶこともすばやい救助につながります。
國方さんが所属する徳島県ライフセービング協会では、
徳島市の小松海水浴場や、阿南市の北の脇海水浴場で監視活動を行います(2023年予定)
水のレジャーを安全に楽しむために、海・川に行くときにぜひ取り入れてください!