牟岐町にジビエ文化を広めたい
- 2023年03月23日
徳島で今、ジビエが熱い!!
野生動物の肉を使った「ジビエ料理」。
近年人気が高まり、徳島県内でも、県が定めた基準を満たして処理されたシカ肉やイノシシ肉を “阿波地美栄(あわじびえ)”と名付けて消費拡大をつなげようとしています。
また、県南部の牟岐町では地元の若手ハンターが中心となって、ジビエの加工施設の運営を担っています。
県内の“ジビエ事情”を取材しました。
(取材:NHK徳島 キャスター 日笠まり絵)
県内で広がる“阿波地美栄”
現在、県内を中心に、42か所で阿波地美栄を味わえます。
徳島市にある飲食店では、ごらんのシカ鍋のほか、シカ肉ローストやシカカツなどを提供。
また三好市の店では、地元のイノシシやシカ肉を使ったハンバーガー「イノシカバーガー」を提供しています。
紹介した例のほかにも企業の社員食堂や、大学や役場の食堂でもメニューが提供されるなど、県内でもジビエ料理が広がってきています。
牟岐町にジビエの新拠点誕生!
そんな中、2022年、ジビエの加工施設が新たに誕生したのが県南部の牟岐町です。
半年前から稼働を始めたばかりのジビエの加工施設は、地元の若手ハンターが中心となって運営しています。現在は月に8頭ほどを処理・加工していて、飲食店などに継続的に提供するための準備をしています。
町内で広がる鳥獣被害
牟岐町は、漁業が盛んな町ですが、海の近くまで山林がせまっていて、シカやイノシシによる鳥獣被害も深刻です。
牟岐町では年間の被害額は約110万円。自家消費のための畑がよく被害にあうそうです。
たけのこをとる竹林でも被害が出ていました。
竹林の所有者である井上正雄さんによると、「4日ぐらい前に、イノシシが掘った跡です。
たけのこをもう食べてしまっています。鼻で突いて穴を掘ってたけのこを探して、これはたけのこの皮の残骸です。」とのこと。
動物が通りそうな場所にわなを仕掛けて捕まえても、次の処分が大変だといいます。
井上さんは、「それが加工施設に持ち込めば処理していただける、これはありがたい」と話します。
加工施設の家形智史さんは、
「被害はだいぶ少なくなったとか、夜に車で走っている時に動物と遭遇する機会が減って安心するというのは聞きます。被害が少しでも減っていくように努めています」
町ぐるみの連携で牟岐町にジビエ文化の浸透を目指す
運営するハンターたちが目指すのは、町内で気軽にジビエ料理を食べられる環境を整えて、地産地消を進めること。
お好み焼き店とメニューの共同開発を行っています。
加工施設の石崎さんと家形さんは、町内のお好み焼き店を訪ねました。メニューの共同開発のためです。
この日は、シカ肉のしょうが焼きと、イノシシ肉のチャーハンを試作しました。
「やわらかくて、嫌な臭みもなく食べやすい」と高評価もあった一方、「チャーハンでは、肉がミンチになっていて何の肉かわからない。チャーシューみたいな感じで、もう少し粗切りにすれば、イノシシ感も味わえるし、食感も楽しめるんじゃないか」との意見も。
加工施設と飲食店がタッグを組んで、ジビエの消費を後押ししたいと考えています。
家形さん「まずは地元の方に食べていただき、ジビエのおいしさを知っていただくことで、よりたくさんの方に僕たちの活動や、ジビエのおいしさが伝わればいいなと思っています」
今後、加工品が安定して製造できるようになったら、ふるさと納税の返礼品にもしたいとのことです。