“制服だけど選べる!”多様性に配慮した新しい制服
- 2023年04月18日
詰め襟の学ラン、セーラー服。なつかしの青春ドラマでかつて見かけた「学校の制服」が、時代とともに変化しています。
制服だけど選べる!
徳島市立高校では、去年創立60年を迎えたのに合わせて、この春から制服を一新しました。
これまでは男子が黒の詰め襟、女子はブレザーと、別々だった上着が男女共通のデザインに。
黄色いネクタイも男女同じデザインです。
新しい制服に身を包んだ新入生たちの感想は。
学ランと比べてめっちゃ動きやすいです。
かわいくて学校に行くのも楽しくなりそうです。
ちょっと都会っぽくてかっこいいと思います。
新しい制服は、アイテムも豊富。
女子のスラックスのほか、2色のパーカーやセーターなど、オプションがたくさん用意されています。
「時代に合った制服というのを考えまして、子どもたちが選んでTPOにあわせて着られるようなそんなことも考えながら制服のオプションを増やしました。」
「選べる」令和の学校の制服。選択肢が広がっています。
制服のジェンダーレス化 徳島でも
徳島市立高校の新しい制服、おしゃれなデザインもさることながら、男女の違いがないことも特徴です。
背景には、多様性への配慮があります。
キーワードは「ジェンダーレス」。
男女の区別をなくした「ジェンダーレス制服」は全国的に広がっています。
徳島でもここ数年で進んでいて、すべての県立高校で女子はスカートのほかにスラックスも選べるようになりました。
また、徳島市では市立高校のほかにも、すべての中学校と、制服のある小学校のうち約4割で女子のスラックスが選べます。
導入した学校に聞いたところ、冬の寒さ対策や、自転車に乗る時の動きやすさ、防犯対策など、着用の理由は様々だということですが、きっかけは多様性への配慮でした。
こうした女子の制服にスラックスを採用する動きについて、性の多様性に詳しい鳴門教育大学大学院の葛西真記子教授は望ましい傾向だと評価しています。
「制服はいやで、制服を着たくないので学校に行きたくない、制服を着ている自分を他の人に見られるのはいやなので不登校になってしまったとかっていう相談も結構たくさんあります。」
性別に違和感のある子どもにとっては、制服が原因で不登校になってしまうこともあるんだそうです。
男子=ズボン、女子=スカート?それって当たり前?
葛西教授は、単に女子スラックスを導入するだけでは十分ではないと指摘した上で、制服や校則について、生徒も保護者も学校もきちんと考えてほしいと言います。
「性別に違和感のあるお子さんというのは、“自分は本当は男なのになぜ毎日女装して学校に行かなきゃならないんだ”と感じているんですね。なので、“ズボンさえはけばいいだろう”みたいな感じに簡単に思ってもらいたくない。
どうして男の子がズボンで女の子はスカートと制服は決まったんだろうか?とか、なんで男女で分けているんだろうか?とか、そういう風なことも学校全体として保護者も巻き込んで生徒も一緒に考えてもらいたいなと思うんです。制服って何十年も前に日本に導入されて、そのままずうっとですよね。“これまでそうだったから”ではなく、いろんな制服があってもいいじゃないかとか、制服なしでもいいじゃないかとか、そんな議論が学校で起こってほしいと思います。
男女で分かれている髪型などの校則の問題もありますね。
中学生・高校生も、何かこういうことしたいな、というのがあったら動いてもらいたい。生徒会でも委員会でもいい、やってみよう、考えてみようと提案する。学校側も、生徒からもし提案されたらちゃんと対応する。一緒に考えてもらいたいと思います。」
身近に性別の違和感で悩む生徒がいたらどう接すればいいのでしょうか?
「学校でよく言われるんですけど、“うちの学校にはいないので”とか“そういうお子さんが出てきたら対応します”っていう学校があるんですけど、いないことはないんです。絶対にいる、そういう前提で対応してもらいたいんです。
いろんな人がいます。徳島県にも例えばさまざまな民族の方、違う国籍、あるいはご家庭の事情がいろいろ違うとか。その中の1つとして性別に違和感のある人もいる。いろんな人がいるんだ、背景は多様なんだということを念頭においた授業をしてもらいたい。」
取材後記
変わる制服事情を取材してみて、学校が子どもたち1人1人にとって、より過ごしやすい場所となるように、児童生徒自身も、保護者も、学校も一緒に考えることが大切だとあらためて思います。
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