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楽しさでつながる 高校生のテニス教室【ぶらキャン+】

  • 2023年02月20日

あらゆる世代の学びの場、キャンパスをぶらりと訪ねる、ぶらキャン+(プラス)。
今回は徳島市の高校で開かれている「テニス教室」を紹介します。

テニスを通じてスポーツの楽しさを伝える教室が、徳島市の高校で開かれています。平日の夜、子どもたちを教えるのは、部活動の練習を終えたテニス強豪校の高校生たち。「楽しむ」という原点を大切にした教室から、スポーツが地域に根づくためのヒントが見えてきました。

教えるのはテニス強豪校の部員たち

教室を開いている徳島商業高校テニス部は、4年間で2回の四国優勝を誇る徳島県屈指の強豪校です。3月に行われる第45回全国選抜テニス大会には徳島県の団体女子代表として出場します。全国大会を控えた2月、部員たちが練習を終えると、ラケットを手にした子どもたちがコートに続々と集まってきました。

毎週火曜日の午後6時半から開かれている「小中学生テニス教室」です。テニス部が近隣の小中学生を対象に9年前から開いている教室には、1回につき平均20数人が参加。1月と8月に行う「親子テニス教室」とあわせると、教室の参加者はのべ9000人を超えます。

1時間半ほどの教室では、部員たちがボランティアで指導し、スポーツの楽しさやテニスの技術を伝えています。

(徳島商業高校テニス部 船本紗恵主将)

(徳島商業高校テニス部 船本紗恵主将)

テニスを通してスポーツが楽しいと思ってもらい、テニスをもっと普及していきたいという思いでやっています。最初はボールとラケットに慣れるところから始めて、ポイントを奪ったりダブルスで仲間とコミュニケーションをとったりする楽しさも味わってほしい。

初心者でもテニスを楽しめるように

教室ではただ技術を教えるのではなく、初心者でもテニスを楽しめる工夫をこらしています。「テニピン」と呼ばれるゲームでは、硬式のボールより一回り大きいうえ、高くバウンドしない低反発のボールを使います。ラケットも手の平より大きなスポンジを貼り合わせた「ハンドラケット」にすることで、体が小さい小学生でもボールを簡単に打ち返すことができます。

テニスを簡単に体験できることを目的にしたゲームですが、子どもたちは部員の指導を受けながら、徐々に難しいプレーに挑戦していました。シンプルに打ち返すところから始めて、ラケットに2回、3回とバウンドさせてから返球するなど段階的に難易度を上げてラケットを扱う感覚を学んでいきます。

(テニス教室の参加者)

打つときが楽しい。テニスに来てお姉さんとしゃべったり試合できたりするのも楽しいです。

教えることがモチベーションの向上に

地域の子どもたちと触れ合う教室は、強豪校の部員たちにとっても貴重な経験になっています。子どもたちにラケットの振り方などの基本動作を教えることは、自分の技術を振り返るきっかけになります。さらに日々の厳しい練習で忘れてしまいがちな「楽しさ」という競技の原点を思い出すことで、練習のモチベーションも向上しているといいます。

(テニス部員 坂口実夢さん)

部員でも技術的には未熟な部分があるので、教えることによって自分も成長できる。教室はすごく楽しいです。

(テニス部員 上杉茉凛さん)

子どもたちと関わる機会があるのですごく大切な経験になっています。いつもみんなが楽しそうに取り組んでくれる姿を見ていると、私たちももっと楽しく活動してもらえるようにしようと思います。

徳島商業高校テニス部は長年、テニス教室を通じて競技の普及に貢献した功績が認められ、3月の全国大会で選手宣誓の大役を任されました。大会関係者は「週1回の教室を長年続けている例は全国でも珍しい」と高く評価しています。

テニス部の顧問を務める教員も、テニスを通じて地域の子どもたちや生徒、それに学校がつながる教室の姿は、スポーツ人口の増加や競技の普及を図る上で可能性を秘めていると感じています。

(テニス部 顧問 新居弘行さん)

週1回、子どもたちと関わってテニスの楽しさを感じる時間をもつことは競技力の向上のプラスになるうえ、地域に開かれた高校にすることにもつながります。ほかの部活動でもできれば高校はすばらしい場所になっていくので、徳島の部活動文化として広がっていけばいいなと思います。

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