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部活動のミライ④ 「教えて!地域移行の不安」

  • 2024年03月19日

3回にわけて、課題や取り組みをお伝えしてきた部活動の地域移行。
最終回は、番組ゲストに招いた長沼豊さんに、アンケートに寄せられた地域移行の不安をぶつけました。

第1回「部活動の”地域移行”とは?」はこちら
第2回「地域移行の課題ー人材編」はこちら
第3回「地域移行の課題ー財源編」はこちら

 

番組ゲストに招いた長沼豊さん

不安① 地域差が出るのでは…?

「地域に移行できる種目がどれだけあるか、地域差がある。人口の多い地域の生徒は選択肢が増えるが、その逆が心配。家庭の経済格差が出る。」(50代・教員・陸上部)

長沼さん

人口が多い地域は指導者もいますし、ある程度は、地域によって差が出てしまうのは当然なんです。

ただ、人口が少ないところほど、地域移行をしていかないと廃部になり、子どもたちが好きなことをできなくなってしまうので、そこを考えていく必要があります。

地域移行がすぐにできない場合でも、合同部活として、お隣さんの学校同士でやるとか、「拠点校方式」といって、A校はサッカー、B校はバスケットボール、C校は合唱、というように拠点を決めて、その学校に移動して行うということをやれば、廃部にならなくて済みますから、そういう方法もありますよね。

 

不安② 指導者の候補は…?

「高齢者にはスポーツ経験者も沢山います。教員免許はほとんどの人は持っていないでしょう。しかし競技の熟練度はかなり高度な知識を持っている高齢者も沢山います。大いに活用すべきです。」(保護者)

長沼さん

高齢者の方で、自分の大好きな種目に取り組む。それが子どもたちのためにもなるということになれば、一石二鳥だと思うので、是非ご活躍いただきたいですよね。

 

不安③ 指導者の質は保たれるのか…?

「地域移行して一番懸念するのは指導者の質。教員は免許取得のために教育に関する学びを経ているが、地域の人はそうでない場合が多い。
子どもの為という言葉で子どもの教育・成長に不適切な対応をしないよう、そういった指導者を生まない仕組みづくりが必要だと思う。」(40代・保護者)

長沼さん

これはご指摘の通りで、やはり地域クラブになったから指導の質が下がってしまうというのは困るんです。教育的な視点を持ってもらいたいですよね。

なので、例えば資格とかライセンスの制度をしっかりつくるということも大事になります。

それから、学校の先生方が「兼職兼業」で、地域クラブの指導者になっていただき、対価も支払うことで、教育的な視点を持った指導者のモデルになってもらう、というやり方もあると思います。

 

不安④ 先生と生徒の繋がりは…?

「地域移行で、教師と生徒の繋がりの深さや学校との関係が希薄にならないか心配。」(40代・保護者)

長沼さん

たしかに「部活動」の部分はそうなんですが、逆にいうと、そうではない部分、つまり授業の準備や子どもたちとの放課後の会話、こういったことができますから、希薄になるというのは必ずしもあたらないと思います。

 

不安⑤ 部活動の指導がしたい教員は…?
(放送ではお届けできなかった番外編)

「部活動の指導がしたいから教員を目指した者もいると思う。部活を指導するかしないのかの選択できる権利を持たして欲しいです。」(30代・教員・サッカー部)

長沼さん

部活動をやりたい生徒と先生は部活動ができて、やりたくない生徒と先生はしなくてもよい、という仕組みを作ることが大事です。
そしてそれを実現するのが地域移行だと思います。

地域移行は休日から始めていますが、地域クラブでは指導したい先生が兼職兼業の許可を得れば、対価をもらって指導ができるようになっています。

 

キーワードは「新たな仕組み」と「まちづくり」

最後に、子どもの 「やりたい」 という思いを守るにはどうすればいいのか、部活動の未来について、長沼さんにキーワードを書いてもらいました。

長沼さんが考える“子どものやりたい”を守るには?
長沼さん

1つ目は「新たな仕組み」を作っていくことが大事だと思います。

地域の皆さんが一緒になって運営のサポートをしていただくということも大事ですし、お金を集めるということも求められてきますから、そういったところも含めて、学校の先生だけでなく、みんなで一緒に考えていくということが求められると思います。

 

2つ目は、「まちづくり」。
新たな仕組みをつくっていくことが、結局「まちづくり」につながるんです。

なぜかというと、自分たちが好きなスポーツや文化、芸術活動ができる自治体になれば、そこにファミリー層なんかが集まってきますよね。

そんな形で一体となって、学校や保護者や地域の皆さんが一緒になって、地域クラブを支えていく。
それができると、良いまちづくりになるんじゃないかと思います。

 

※なお掲載している情報は放送当時のものです。

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