部活動のミライ③ 「地域移行の課題―財源編」
- 2024年03月19日
部活動の地域移行を進めていくための、「人材」と「財源」の2つの課題。
今回は、2つ目の「財源」について考えます。
家庭の負担はどうなる?
財源面での不安の声は、番組のアンケートにも寄せられました。
「地域移行することで家庭の負担が増えてしまわないか」 (10代・高校生)
「家庭の負担が増えてしまいそう。※送迎や経費 日々の練習場所はどうなるのか。」(40代・保護者)
現在は、地域移行の改革推進期間として、国が委託費を出していますが、この期間が終わった後どうなるのかは、見通しが立っていません。
そこで、番組アンケートでは、地域移行で払ってもいいと考える月の負担額も調査しました。
約6割の人が「3000円以下」の負担ならいいという回答結果でした。
保護者からすると、なんとかこのくらいでおさえてほしいということなのですが、今まで先生方のサービス残業で成り立っていましたから、地域クラブになると会費を払わなければいけないということになります。
今までの負担で済んでいたのが異常だったと捉えて、意識を変えていく必要があります。
ただ、注意しなければならないのは、経済的に苦しい家庭には、行政が何らかの形でサポートする必要もあるということですね。
補助金に頼らない、新しい仕組みとは?
そこで三豊市が取り組んでいるのは、新たな仕組みづくりです。
3年前、三豊市が立ち上げたのが「みとよ探求部」という地域クラブ。
中高生がやりたいことを自ら決めて探求し、実現させています。
高校2年生のメンバーが主催したのは、父母ヶ浜での哲学対話の場。
探求部は本当に誰でも受け止めてくれるところだと思っていて、自分を最大限に表現できるところだと思う。
他に、最先端の技術を使った地域クラブも。
例えば、去年の秋から始まったメタバース部では、仮想空間で世界中の同じ趣味を持つ人たちと交流を深めたいと考えています。
面白いです。世界中の色んなことに興味を持った人と交流できる。
指導するのは三豊で活躍する起業家などの大人たち。
さらに、全国の大学生もアドバイザーとしてサポートしています。
子どもたちは無料で参加でき、指導者への人件費や施設利用料など、年間300万円ほどの経費は市の予算で賄われています。
こうした地域クラブの仕掛人が、教育センター長の小玉祥平さん。
家庭の経済状況の格差によらない形で放課後の学びが提供されるというものは本当に最も重要なことだと思っています。
そういう格差ができるだけない形で多様な学びの選択肢を提供するというのが三豊市の放課後改革の目指しているところです。
今、小玉さんたちが模索しているのが、大手コンサル企業との連携。
「子どもたちが関心を持つ個性的な部活に出資をすることが、将来的なビジネスに繋がる」と持ちかけました。
小玉さんは民間企業からの投資を財源にファンドを立ち上げ、補助金だけに頼らない持続可能な地域クラブの仕組みを構想しています。
(委託費などの)支援制度があるうちに将来的な姿を作っていって、そういうものがなくなった段階で自走できる仕組みを作り、走り始められているということを目指しています。
補助金がなくなっても持続可能な形になるので、民間企業に投資してもらうことはいいと思います。
ご家庭の負担を3000円以内におさめるということを考えたら、地元の企業が入ってくるといいかもしれません。
(企業の)知名度も上がりますし、お金が出せない場合でも、例えば社員に元アスリートの方がいたら、指導者として人を出してもらうなど、様々な形で地域貢献として、企業に参加してもらうのもありだと思います。
最終回となる次回は、番組に寄せられた「地域移行の不安」を長沼さんと考えます。
※なお掲載している情報は放送当時のものです。