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NHK高松 赤ちゃんイルカ誕生! 塩﨑実央アナウンサーが取材

  • 2023年06月27日

4月末、香川県高松市にある新屋島水族館で、バンドウイルカの赤ちゃんが生まれました!
自然繁殖に成功したのは、四国で初めてです。時折、赤ちゃんが水面から元気よくジャンプする姿も見せています。イルカの親子の様子を塩﨑実央アナウンサーが取材しました!

赤ちゃんイルカの名前は「ナナ」

 

イルカ 赤ちゃん 虹
イルカの親子 空にかかる虹を眺めている?

4月30日に生まれた赤ちゃんイルカ。名前は「ナナ」です。
生まれた2日後に、空に七色の虹がかかっていたことから名付けられました🌈
性別はまだわかっていませんが、体長およそ1m30センチにまで育っています!(6月12日現在)

お母さんの「雪」は子育て上手!

水族館のスタッフによると、ナナがここまで順調に育ったのは、 
お母さんイルカ「雪」の上手な子育てのおかげなんだとか。
水族館のスタッフ、竹村一儀(たけむら・かずのり)さんに聞きました。

普段はイルカショーも担当している竹村さん
まゆげはショーの時のものです!

竹村さん、お母さんの「雪」はどんな面で子育てが上手なんですか?

竹村さん

まずは、泳ぎのサポートですね。「ナナ」が誤って水槽の壁に当たらないよう、
基本的に「ナナ」の外側を泳いで、障害物から守ってあげます。

だから 寄り添うようにして泳いでいるんですね

竹村さん

そうなんです!他には、授乳のしかた! 
授乳のとき、お母さんの「雪」は泳ぎを止めて、赤ちゃんのナナがお乳を吸いやすいようにしてあげます。 ナナの場合、母乳を飲むのは、平均で1時間に1回程度
飲む時間は1回につき5秒から20秒ほどなんです。

えー!長くて20秒ですか…人間と比べるとかなり短いですね!

竹村さん

お母さんイルカの中には、授乳が上手くできずに、
子どもが死んでしまうケースもあるため、大事な子育ての1つなんです。

スタッフの皆さんにとっても、イルカの子育てに立ち会うのは初めて。 
親子に異常がないかどうか、スタッフ4~5人が交代で1時間に1回は様子を確認しているそうです。
 お母さんイルカやスタッフの支えもあり、元気に育っているんですね。

イルカの繁殖の難しさ…死んでしまうリスクも

しかし、イルカの繁殖はそう簡単ではありません。 まずは、生まれる前。

お母さんイルカの妊娠中、死産や流産となる可能性があるため、定期的な検診が必要です。
イルカの妊娠期間は1年近くあるため、スタッフによる長期の経過観察が求められます。

さらに、生まれたあとも気を抜くことができません。

母乳が上手く飲めなかったり、水槽のガラスに誤ってぶつかったりして、
死んでしまうケースもあるそうです。

イルカの繁殖活動 加速の背景は

イルカの繁殖を目指す取り組みは、全国各地の水族館などで進められています。

2015年にJAZA=日本動物園水族館協会が、世界的に批判が強い追い込み漁で捕獲した
イルカの入手を禁止したことなどから、イルカの確保が困難に。

水族館などが、自ら繁殖に取り組む動きが加速したのです。
イルカの繁殖に詳しい三重大学の船坂徳子(ふなさか・のりこ)准教授に、現状について聞きました。

三重大学 船坂准教授
三重大学 船坂准教授

「水族館にいまいる個体を健康に長く飼育したうえで、繁殖によって個体数を増やしていこう
 という傾向になっていると思います。ただ、それを1つの水族館で行うのは難しいので、
 ほかの水族館から個体を移動してきて、お見合いをさせるという場合もあります。
 さらに、それが難しい場合には、オスの精子だけを輸送して人工授精をするとか、
 繁殖に向けたさまざまな取り組みが進められています。このように水族館同士が連携を強め、
 繁殖を進めていくという方向性になったのは、割と最近のことです」。

四国の水族館などでも繁殖活動が行われていますが、試行錯誤を繰り返しているのが現状です。 
そんな中、今回新屋島水族館では、自然繁殖で赤ちゃんが誕生しました。
この意義について船坂准教授は。

「順調に1ヶ月間成長して、太ってきているということもみえているのは価値があることだと
 思います。繁殖に向けて努力をされてきて、それが実を結んで今回の成功に繋がったという
 ことであれば、それはやはり意義があることだと思います。今後の日本のイルカ飼育に向けて
 も大きな一歩なのかな と思います」。

イルカ 赤ちゃん 親子

取材後記

取材を続けていくなかで、「繁殖活動そのもの」や「イルカを飼育すること自体」に反対する声があるということも知りました。ただ、お母さんイルカの頑張りやスタッフのケアによって育まれている命であることに変わりありません。これからも、のびのびとたくましく育ってほしいと思います。

  • 塩﨑実央

    高松放送局 アナウンサー

    塩﨑実央

    香川に赴任して4年
    うどんもそばも好きです!

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