NHKスペシャル

世界里山紀行 中国・雲南 竹とともに生きる

中国・雲南省西部、ミャンマーとの国境に近い地域には、竹とともに暮らす独特の文化がある。雲南地方は、250種類を超える竹が生える「竹の宝庫」。人々は、食器やカゴ、家屋の壁や屋根、そして大きな橋に至るまで、完全に竹に依存した生活を送っている。
雨期の到来の前、村では若い男たちが総出で、共有林の竹を切り出し、橋の修理を行う。この作業には、橋の床から紐(ひも)に至るまで、竹以外は一切使わない。
放っておくと荒れてやがて枯れてしまう竹林だが、ここでは人々が定期的に竹を間引きし管理する事で、何世代にも渡って利用してきた。
こうした竹林には、珍しい動物も暮らしている。竹の筒の中で生命の連鎖を繰り返す昆虫や竹を主食としているタケネズミなど、不思議な生きものたちの小宇宙がある。
一方、人の一生も竹とともにある。子どもが生まれると竹の揺りかごで育て、死を迎えると竹筒の中に遺骨を入れて竹林に吊るす。自分たちは竹から生まれたという伝説をもつ民族もいる。
数千年にわたる人と自然との共生の象徴である竹林に注目しながら、中国の「里山」を描く。