NHKスペシャル

世界里山紀行 フィンランド 森・妖精との対話

地球規模の環境破壊や資源の枯渇が問題となっている中で、自然と調和し共存する「里山」の世界が見直されている。シリーズでは、世界各地の「里山」的環境を訪ね、豊かな自然や人々の暮らしをみつめ、「共存の知恵」を探っていく。

「森と湖の国」と呼ばれる北欧フィンランド。国土の7割が森に覆われ、人々は今も森と密接に関わりながら暮らしている。
人々はベリーの実やキノコなどの森の恵みは誰でも自由に採ることが認められている。
フィンランドではまた、森には目に見えないたくさんの「精霊」が住んでいると考えられており、木を切る時には斧(おの)で2回たたいて、精霊に合図を送り、許しを請う。
民家の庭先、樹齢100年を超えるシラカバの老木で子育てをするフクロウは、「森の賢者」といわれ、畑の害獣であるネズミを退治してくれる鳥として大事にされている。
森の生きものと精霊たちの頂点を占めるのが、「タピオ=森の王」と崇(あが)められているヒグマだ。秋から冬にかけて行われるクマ猟には、「森の王」とのコミュニケーションを図る儀式としての色合いが強く残っている。
フィンランド南東部の森を舞台に、生きものたちと人々との交流を詩情豊かに描く。