NHKスペシャル

世界里山紀行 ポーランド 水辺に響きあういのち

 ポーランド北東部のビエブジャ・ナレフ湿地帯は、貴重な水鳥の繁殖地。湿原の周囲では、数千件の農家が酪農や畑作を営んでいる。
 春、雪解け水が湿原に流れ込むと、水がもたらす栄養分を糧に、湿原は緑の大草原に変身する。人々は、牛を駆って川を泳いで渡らせ、対岸の豊かに育った天然の草をたっぷりと食べさせる。1000年も前から続けられてきた自然のリズムを利用した伝統の放牧だ。
ほどなく南の越冬地からたくさんの鳥たちが飛来して子育てを始める。湿原にいち早くやってくるのがコウノトリ。家の屋根や庭の木に営巣し、畑や放牧地でカエルや昆虫を捕えながら、人々に温かく見守られて子育てをする。
夏、水が退くと、人々は湿原で干草にする草の刈り取りに精を出す。人が草を利用する事で湿地に枯れ草がたまるのを防ぎ、結果として、水鳥たちの繁殖に適した環境を作り出しているのだ。
冬、伝統的なクリスマスのお祝いで、人々は自然の恵みに感謝し、家族で分かち合う。
 ダイナミックに変化する湿原の四季と、自然と歩調を合わせながら生きる人々の営みを美しい映像で描く。