NHKスペシャル

ラストメッセージ 第6集 この子らを世の光に

国中が食うや食わずの窮状にあった昭和21年に設立された、日本初の公的施設「近江学園」。当時のフィルムには、寝食を共にし生き生きと暮らす障害児と職員たちの姿が記録されている。それはまさに「福祉」の原点である。
近江学園を設立した糸賀一雄(1914-68)は、「障害者と健常者が区別なく暮らせる社会を」と訴え続け、成人のための施設、女性のための施設、重度障害児の施設と、社会からこぼれ落ちていた弱き者との暮らしを拡充していった。そして講演中、「この子らを世の光に」と語った直後、心臓発作によって志半ばで逝く。
糸賀にはその活動を支えた二人の友がいた。池田太郎(1908-87)は、大人になった知的障害者たちが自活できる施設を信楽町に設立。田村一二(1909-95)は、障害者と健常者とが施設ではなく同じ村人として生活する「茗荷村」を建設する。そこには三人がたてた誓い「共に生きる社会」への萌芽をみることができる。
番組では、三人の遺志を継ぐ三つの現場「近江学園」「信楽寮」「茗荷村」にカメラを据え、“三人の誓い”の今、そして明日を見つめる。